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紅茶好きの管理人が読んだ読書の記録のためのブログ。ネタバレありですのでご注意ください。
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マユリ
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Since2010.11.26
総読書感想数 430

読書と音楽とゲームとおいしいものと人形をこよなく愛する多趣味な人間です。
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(2013年読書感想77冊目)

ジャン=コーム・ノゲス 著  クリストス・デュリアル 絵 こまだしおり 訳

おすすめ度★★★★☆(大人のための絵本といった印象。)


ランスロットはその場を去ろうとしていた。心の中にあるこの美しく、力強い愛、そしておだやかになったこの愛のために、最後の日には神の許しを得られるかもしれないと思った。(p56)



アーサー王伝説といえば、ファンタジー小説の基礎の一つと言われ、日本でも根強い人気のある伝説です。
かく言う私もアーサー王伝説に魅せられた一人で、特にランスロットには格別の思い入れがあります。
この小峰書房の絵本のシリーズは魅力的なラインナップが揃い、大好きなのですが、まさかランスロット単体で絵本を出してくれるとは思いませんでした。

絵本ですが、文字が多く内容もちょっと難しいので、中学生くらいから向きの、大人の絵本でしょう。
そうして、少なくともほかに一冊くらい、アーサー王伝説の本を読んでおくと楽しめると思いました。
湖の貴婦人ヴィヴィアンに育てられたランスロット。
その幼少期から、生涯の想い人である王妃グウィネヴィアとのエピソードなど、ランスロットにまつわる有名なエピソードをチョイスして収録しています。

名誉や愛など、絵本ですが王道な中世騎士物語を堪能できる一冊。
絵本の絵のほうも、どれもまるで中世のタペストリーを見ているようでした。
純粋に王妃を愛し、それがしかし不倫であるがために自分は純粋な騎士にはなれないと思い悩むランスロット。しかしその純粋な愛のために、最期の日には神の許しを得られるかもしれないと思うランスロット。
そんなランスロットの愛に対する葛藤が魅力的な一冊でした。
グウィネヴィアはランスロットにとってのファム・ファタールだったんだなあと思います。
ランスロットに愛されているがために傲慢になり彼を試すグウィネヴィア。このことからして、二人の愛情の先に破滅があることを予感させてくれます。
なにはともあれ、世界の名作や伝承を絵本で読めるこのシリーズは本当に素晴らしく、これからの展開が楽しみです。
大人のための絵本を探してる方にはおすすめの一冊です。

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  • 発売元: 東京創元社
  • 発売日: 2012/05/30




(2013年読書感想76冊目)


原題 Chaos Walking The Knife of Never Letting Go
パトリック・ネス 著  金原瑞人 樋渡正人 訳

おすすめ度★★★★☆(久しぶりのSF小説。続きが気になります!)


「父さんがよく言ってた。前身あるのみ。内にこもるな、顔を上げろ」(p249)


世界中で高い評価を得ている、パトリック・ネスのディストピアン・SF小説、混沌の叫び三部作の第一部の上巻の感想です。題名はカオスの叫びと読みます。

そう、これはファンタジーではなくSF小説です。
私にしては珍しいチョイスだけど、妙に気になったので。
SF小説久しぶりに読んだけどわくわくした! そうしてちょっと怖かった!
人々が新しい暮らしを夢見て移殖した新世界。しかしエイリアンである処のスパクルとの戦いで、ノイズ菌という細菌をまかれ、そのおかげで男の半分と女は総て死に絶え、生き残った男たちは、ノイズ菌に感染。自分の考えが相手に伝わってしまうという症状に罹ります。人間だけでなく、動物も皆感染します。
もうすぐ大人の仲間入りを果たす主人公のトッドは、プレンティス・タウンというノイズだらけの街で育つのですが、ある時、全くの静寂に出会ったことから、町を追われることになります。
そこで、女の子と出会って?(女の子は全員死んだはずなのに……)

トッドが逃げなくてはいけない理由とは? 何が真実で、何が偽りなのか? そういったことはまるで分らないまま、とにかく逃げる小説です。おもしろいのかそうじゃないのかわかりませんが、不思議な吸引力があってすごく引き付けられます。
理由もわからないまま向けられる悪意。逃避行はうまくいかないことばかりですが、その中にも希望が一筋差し込んでいるような物語です。

SF小説は久しぶりに読んだけど、これはすごく続きが気になる! というか、あんなところで終わらせるとは! 続きも借りてきてよかったです。
色々な謎がまだまだ明らかになっていませんし、世界観もおぼろげにしかわかりません。
だけど、読ませる力のある作品です。
一体、プレンティス・タウンは何をたくらんでいるのか?

YA向けの本ですが、大人が読んでも楽しい1冊。もちろん、YA世代の方も、読んで面白い一冊です。
少年少女らしい心の機微や、大人たちの愛情を確かに感じられ、本当に完成度の高いシリーズなのだろうなと思わされます。
続きも近いうちに読みたいです。
そんなに厚い本でもないですし、気になる方は是非読んでみてくださいね。

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(2013年読書感想75冊目)


青木祐子 著  明咲トウル イラスト

おすすめ度★★★★☆(おもしろかった! これもシリーズ化されますように!)


ひとりの女の子であるまえに、メイドであれ。
それはわたしの座右の銘である。(p246)



ベテラン少女小説家、青木祐子先生の新作です!
私、ヴィクトリアン・ローズ・テーラーもまだ完読できていませんが、青木さんの作風がすごく好きで、新作は購入して追いかけることに決めていました。
よく訓練されているメイド、シャノンと、小説家で貴族の次男坊、ロイが織り成す、ヴィクトリアン・ミステリーです。

やっぱり青木先生の描かれるヴィク朝もの、いいなぁ。
登場人物がとにかく生き生きしていて、かわいい女の子もいっぱいで、読んでいて本当に楽しかったです。
主人公のメイドさん、シャノンは仕事がよくできるけど、実はすごく乙女な部分も持ち合わせてそうで、好感度高いです。
というかシャノンという名前が好きです! 川の女神さまの名前……。(ちなみにロイは王という意味だったはず)
シャノンの思いや秘密? などまだ明らかにされていない部分も多いですが、きっとこれからゆっくり、ロイと恋仲になってくれるのかしら、とそちらの進展も今から楽しみです。続刊希望です!
ロイもなかなかいいのですよね。不真面目かと思えばしっかりしていて、見る目があって……。
シャノンとロイの二人は、これからいいコンビになりそうです。

しかし、青木先生は女の子書くのが本当にうまいなあと思いました。
特に女の子の可愛さと怖さを同時に書くのがうまい! 可憐なのに怖い!
ミステリーとしてはまあ期待はしていなかったのですが、動機とかはさすがだなあと思いました。

何より、この時代にいきいきと働くメイドさんの様子が、丁寧に書かれていて魅力的でした。
ルースもエリザベスも好きです。
なにあともあれ、青木先生の新作がリアルタイムで読めることが嬉しくて! そうして期待にたがわない面白さですごくよかったです。
今後に期待する意味も込めて評価は☆4ですが、貪るように読んでいました。
本当、続刊に期待です。
シャノンの背景など、もっと判るといいな。

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(2013年読書感想74冊目)


白川紺子 著  宵マチ イラスト

おすすめ度★★★★★(完結。もっとこの作品世界で読みたかった!)



「クレア、僕を愛して」
やわらかな声が、クレアの胸を突いた。息を呑む。
「大丈夫だから。怖がらずに僕を愛してくれ」(p173)



今一番大好きと言っていいかもしれない少女小説、「リリー骨董店の白雪姫」の最終巻。
最後まできれいにまとまっていたけど、三冊で完結なのは本当に寂しい。もっと続いてほしかったな。と心から思わせてくれるような、素敵な少女小説でした。とてもよかったです。
今回の物語は、登場人物ほぼ総出の<エデン・ブルー>探しでした。

とにかく、各キャラクターへの好感度がうなぎのぼりだった一冊。
クレアはかわいかったし、ジェレミーも男らしく頑張ったし、セディお兄様の本心もわかってほろっと来たし……。
でも私が一番やられたのは素敵なバイプレイヤーの皆さまでした。バートと、ロビンとベアトリスとバーナード! 本当皆、それぞれ抱えてる思いにやられてしまいました。
しっかり者で弟想いのバートはぐんぐん好感度上がっていくし、ロビンも切なかったです。そしてそれ以上に切なかったベアトリス。そうしてかわいそうだったバーナード。本当、もっと皆の物語が読みたかった!特にバーナードはかわいそうすぎるな。どこかで報われてほしいのですが、無理かな……。

ベアトリスの切ない片思いに本当にやられてしまいました。こういうのに弱いのです。
ベアトリスはロビンを忘れられないだろうな、と思うと切なくて……。でもその切なさがたまらなく好みでした。
主役二人のカップルもとっても好きだしいいのだけれど、とにかくベアトリスとロビンの切なさにやられました、ロビンも本当に切なかった。最後の最後にやってくれたというか。でも、ロビンらしいというか。

丁寧な、少女小説らしい少女小説でした。正直ヴィクトリア朝ロンドンを舞台にしていますが、そこはかとなくファンタジーな雰囲気も好みでしたし、本当に出会えてよかったと思える1冊でした。
今はまだ、物語の余韻に浸って居たい。そんな一冊です。
素敵な本をありがとうございました!

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(2013年読書感想73冊目)


フィン・セッテホルム 著  枇谷玲子 訳

おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。おもしろかった! マイナーな本だけどもっと多くの人に読んでほしい。)


「(前略)くれぐれも手は大事に。君のはすごく特別なんだから」(p38)


なんとなく図書館で手に取った1冊。
なかなか王道なファンタジー小説なんだけど、なんともドキュメンタリー系の本っぽい題名と装画なのがなのが本当に残念。中身はすごく面白かったのに、これではなかなか手に取ってもらえなさそうだなあと思いました。

主人公の少女リディアは、ストックホルムに住む絵を描くことが大好きな12歳の女の子、不思議な少年と出会ったことから、日常が変化していき、ある日おじいちゃんと行った美術館で一枚の絵に触れたことから、その絵の時代にタイムスリップしてしまうのだった!

というお話かな。

レンブラントの「キッチン・メイド」、ベラスケスの「侍女たち」、ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」ドガの「バレエの教室」ターナーの「ノラム城、日の出」、ダリの「燃えるキリン」という6枚の絵画と6人の画家たちが、物語のキーになっていきます。
ベラスケスとか浅学なもので知らなかったのですが、(知ってても絵自体思い出せないのもあったり)それでも十分に楽しかったです。
出てくる画家は皆個性的だけど優しくて……。もし自分が絵が大好きで、過去の巨匠たちのもとにタイムスリップし、絵を教えてもらったり様々な時間を共有する。こんなにもうらやましく、自己を見つめなおす旅という意味では、こんなに素晴らしい体験はないと思いました。
YA世代の子供たちや、絵に興味のないような大人たちが、絵画の世界に興味を持つのにも最適な一冊だと思いました。

王道な話なんだけど、とにかく面白くて、ついつい読む手が止まりませんでした。
今度美術館に行ったときは、きっと違う視点を持てそうな、そんな素敵な本でした。個人的にはもっとたくさんの人に読まれてほしいです。美術館に行きたくなるような、出会えたことに感謝な1冊でした。

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