(2013年読書感想76冊目)
原題
Chaos Walking The Knife of Never Letting Goパトリック・ネス 著 金原瑞人 樋渡正人 訳
おすすめ度★★★★☆(久しぶりのSF小説。続きが気になります!)
「父さんがよく言ってた。前身あるのみ。内にこもるな、顔を上げろ」(p249)世界中で高い評価を得ている、パトリック・ネスのディストピアン・SF小説、混沌の叫び三部作の第一部の上巻の感想です。題名はカオスの叫びと読みます。
そう、これはファンタジーではなくSF小説です。
私にしては珍しいチョイスだけど、妙に気になったので。
SF小説久しぶりに読んだけどわくわくした! そうしてちょっと怖かった!
人々が新しい暮らしを夢見て移殖した新世界。しかしエイリアンである処のスパクルとの戦いで、ノイズ菌という細菌をまかれ、そのおかげで男の半分と女は総て死に絶え、生き残った男たちは、ノイズ菌に感染。自分の考えが相手に伝わってしまうという症状に罹ります。人間だけでなく、動物も皆感染します。
もうすぐ大人の仲間入りを果たす主人公のトッドは、プレンティス・タウンというノイズだらけの街で育つのですが、ある時、全くの静寂に出会ったことから、町を追われることになります。
そこで、女の子と出会って?(女の子は全員死んだはずなのに……)
トッドが逃げなくてはいけない理由とは? 何が真実で、何が偽りなのか? そういったことはまるで分らないまま、とにかく逃げる小説です。おもしろいのかそうじゃないのかわかりませんが、不思議な吸引力があってすごく引き付けられます。
理由もわからないまま向けられる悪意。逃避行はうまくいかないことばかりですが、その中にも希望が一筋差し込んでいるような物語です。
SF小説は久しぶりに読んだけど、これはすごく続きが気になる! というか、あんなところで終わらせるとは! 続きも借りてきてよかったです。
色々な謎がまだまだ明らかになっていませんし、世界観もおぼろげにしかわかりません。
だけど、読ませる力のある作品です。
一体、プレンティス・タウンは何をたくらんでいるのか?
YA向けの本ですが、大人が読んでも楽しい1冊。もちろん、YA世代の方も、読んで面白い一冊です。
少年少女らしい心の機微や、大人たちの愛情を確かに感じられ、本当に完成度の高いシリーズなのだろうなと思わされます。
続きも近いうちに読みたいです。
そんなに厚い本でもないですし、気になる方は是非読んでみてくださいね。
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