(2013年読書感想74冊目)
白川紺子 著 宵マチ イラスト
おすすめ度★★★★★(完結。もっとこの作品世界で読みたかった!)
「クレア、僕を愛して」
やわらかな声が、クレアの胸を突いた。息を呑む。
「大丈夫だから。怖がらずに僕を愛してくれ」(p173)今一番大好きと言っていいかもしれない少女小説、「リリー骨董店の白雪姫」の最終巻。
最後まできれいにまとまっていたけど、三冊で完結なのは本当に寂しい。もっと続いてほしかったな。と心から思わせてくれるような、素敵な少女小説でした。とてもよかったです。
今回の物語は、登場人物ほぼ総出の<エデン・ブルー>探しでした。
とにかく、各キャラクターへの好感度がうなぎのぼりだった一冊。
クレアはかわいかったし、ジェレミーも男らしく頑張ったし、セディお兄様の本心もわかってほろっと来たし……。
でも私が一番やられたのは素敵なバイプレイヤーの皆さまでした。バートと、ロビンとベアトリスとバーナード! 本当皆、それぞれ抱えてる思いにやられてしまいました。
しっかり者で弟想いのバートはぐんぐん好感度上がっていくし、ロビンも切なかったです。そしてそれ以上に切なかったベアトリス。そうしてかわいそうだったバーナード。本当、もっと皆の物語が読みたかった!特にバーナードはかわいそうすぎるな。どこかで報われてほしいのですが、無理かな……。
ベアトリスの切ない片思いに本当にやられてしまいました。こういうのに弱いのです。
ベアトリスはロビンを忘れられないだろうな、と思うと切なくて……。でもその切なさがたまらなく好みでした。
主役二人のカップルもとっても好きだしいいのだけれど、とにかくベアトリスとロビンの切なさにやられました、ロビンも本当に切なかった。最後の最後にやってくれたというか。でも、ロビンらしいというか。
丁寧な、少女小説らしい少女小説でした。正直ヴィクトリア朝ロンドンを舞台にしていますが、そこはかとなくファンタジーな雰囲気も好みでしたし、本当に出会えてよかったと思える1冊でした。
今はまだ、物語の余韻に浸って居たい。そんな一冊です。
素敵な本をありがとうございました!
[0回]
PR