(2014年読書感想8冊目)
白川紺子 著 友風子 イラスト
おすすめ度★★★★★(面白かった! 読んでよかったと思える一冊。)
「結局のところ」
薔薇で飾られたメアリを見つめ、ジョシュアはつぶやく。
「薔薇をたずさえ君を迎えにきたのは、俺だったわけだな」(p284)
大好きな少女小説家、白川紺子さんのデビュー作。
紺子さんの描かれる「リリー骨董店」がすごく好きで、お話もよかったので、いつか読みたいと思っていたこの本も読んでみました。すごく評判がいいみたいでしたしね。
結果、読んですごくよかったです!「リリー骨董店」もよかったけど、このお話もすごく好きです! むしろこっちの方が好きかも!?
人違いで、伯爵家の娘となったメアリ。彼女は、そのことで自分は嘘をついていると、すごく自分を責め続けることになります。
このメアリの葛藤が本当に丁寧に描かれていて、読んでいてすごく切ない気持ちになりました。
ジョシュアとの恋模様も、とってもかわいらしくて良かったです。
本当に紺子さんは、一つ一つの描写を、丁寧に美しい文章でつづられる方なので、小説を読んでいる時間は至福の時間です。
お話も、ヴィクトリア朝ものというよりは、魔法とか呪いとか出てきて、ファンタジーな感じなのですが、それがまた私の好みで……。こういうファンタジックな素敵な物語を描くのがお上手な作家さんだと思います。
また、デイヴィッドやヴァイオラやオリヴァ―といった脇役も魅力的でした。
デイヴィッドはその趣味が素敵でしたし、ヴァイオラはツンデレ、オリヴァーはちょっと狂気系でしたが、こういうキャラクターは大好きです。
とにかく本当に素敵なお話で、友風子さんの素敵なイラストもふんだんに見ることができて、素敵な小説に出会えた喜びでいっぱいです。
これからも沢山作品を読みたい、応援したい作家さんです。
お勧めの1冊です。
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