原題 The Sable Moon
ナンシー・スプリンガー 著 井辻朱美訳 中山星香 表紙絵
お勧め度 ★★★★☆ (アイルの書では一巻と並び実は一番のお勧めです)
アイルの書の第3巻。銀の陽に出てきたアランとリセの息子トレヴィンが主役の物語。
今までのシリーズの登場人物や地名が総出演と言った感じのお話ですが、だからと言って派手さや騒がしくはなくあくまでも魔法と癒しに満ちた作品です。
一巻では海に憧れ、二巻では海を恐れていた登場人物ですが、今回の3巻はまさに海が主役、海への航海のお話です。
しかし、海への憧れを胸に航海したトレヴィンがたどり着いたのは狼を崇拝する東の敵国で、彼はそこで奴隷として売られてしまいます。そんな彼を助けたのは一人の魔法使いで…。彼は無事再びアイルに帰り、アイルを脅かす狼どもを駆逐できるのでしょうか?
正直、私は今までの三作ではこの話が一番好きだと感じました。女史の書いたこのシリーズの女性の登場人物にはそこまで魅力を感じなかったのですが、この話に出てくるメグやメーヴは魅力的だと感じたかもしれません。
続くシリーズではトレヴィンとメーヴの間に生まれた人狼、デイルが活躍するわけですが、そういうつながりが、この作品はあくまでひとつの大きな作品として繋がっているんだと感じられて嬉しいです。
登場人物で言えばアランがだいぶ変わっていたのに対し、ハルがあまり変わっていないように感じたのは、アランのほうが父にも王にもなったからなのでしょう。そんな責任を担うアランが痛々しかったですが、最後は平安を見出せたようでよかったです。
心の平安を見出したい時にお薦めの一冊。
にほんブログ村 よろしければぽちっとお願いします!
追記は登場人物メモです。
[0回]
主要登場人物メモ
トレヴィン アイルの王子。真の名はアルベリック。
グウェルン トレヴィンのウィルド。
メグ(メガン) トレヴィンの恋人。狼と親しい。
エムリスト 魔術師。トレヴィンに真の名を目覚めさせた。
メーヴ エムリストの姉。トレヴィンの子供を身ごもる。
アラン トレヴィンの父。アイル王。
ハル トレヴィンのおじ。エルウェストランドに行った。
PR