(2013年読書感想73冊目)
フィン・セッテホルム 著 枇谷玲子 訳
おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。おもしろかった! マイナーな本だけどもっと多くの人に読んでほしい。)
「(前略)くれぐれも手は大事に。君のはすごく特別なんだから」(p38)なんとなく図書館で手に取った1冊。
なかなか王道なファンタジー小説なんだけど、なんともドキュメンタリー系の本っぽい題名と装画なのがなのが本当に残念。中身はすごく面白かったのに、これではなかなか手に取ってもらえなさそうだなあと思いました。
主人公の少女リディアは、ストックホルムに住む絵を描くことが大好きな12歳の女の子、不思議な少年と出会ったことから、日常が変化していき、ある日おじいちゃんと行った美術館で一枚の絵に触れたことから、その絵の時代にタイムスリップしてしまうのだった!
というお話かな。
レンブラントの「キッチン・メイド」、ベラスケスの「侍女たち」、ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」ドガの「バレエの教室」ターナーの「ノラム城、日の出」、ダリの「燃えるキリン」という6枚の絵画と6人の画家たちが、物語のキーになっていきます。
ベラスケスとか浅学なもので知らなかったのですが、(知ってても絵自体思い出せないのもあったり)それでも十分に楽しかったです。
出てくる画家は皆個性的だけど優しくて……。もし自分が絵が大好きで、過去の巨匠たちのもとにタイムスリップし、絵を教えてもらったり様々な時間を共有する。こんなにもうらやましく、自己を見つめなおす旅という意味では、こんなに素晴らしい体験はないと思いました。
YA世代の子供たちや、絵に興味のないような大人たちが、絵画の世界に興味を持つのにも最適な一冊だと思いました。
王道な話なんだけど、とにかく面白くて、ついつい読む手が止まりませんでした。
今度美術館に行ったときは、きっと違う視点を持てそうな、そんな素敵な本でした。個人的にはもっとたくさんの人に読まれてほしいです。美術館に行きたくなるような、出会えたことに感謝な1冊でした。
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