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紅茶好きの管理人が読んだ読書の記録のためのブログ。ネタバレありですのでご注意ください。
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マユリ
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女性
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Since2010.11.26
総読書感想数 430

読書と音楽とゲームとおいしいものと人形をこよなく愛する多趣味な人間です。
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火星の砂時計
火星の砂時計
  • 発売元: サンリオ
  • 発売日: 1987/12





(2013年感想54冊目)


すやまたけし 著 宇野亜喜良 絵

おすすめ度★★★★★(素敵なメルヘンが詰まった、宝箱のような一冊。)


彼女はぼくと同じ側にいる人間に違いなかった。初めて同類に会えたのだ。(p92)


この本に収録されている「素顔同盟」が、所属している読書サークルの今年の夏の課題図書でした。
すやまたけしさんという方は初めて知ったのですが、とっても素敵なメルヘンを書く方ですね。一気にその世界観に引き込まれてしまいました。
私が興味深いなと感じた点は、16篇ほどのメルヘンが、最初はいかにもファンタジックだったのが、後半に収録されているものになるにつれSFのような話になっていくという点でしょうか。
きっと作者のすやまさんは、過去という懐かしさの中でメルヘンを紡ぐことより、未来という希望の中でメルヘンを紡ぐことを志向していったのかなと感じました。

どのお話もファンタジックでありながらSFで、メルヘンらしく含蓄に富み、読んでいてたまらなく愛おしい気持ちになります。
古い本ですがどのお話も古さは感じないですし、色あせない魅力があると思っています。
現在は入手困難な本のようですが、お近くの図書館に蔵書のある方は、ぜひ読んでみて欲しい一冊です。
宇野亜喜良さんの挿絵がまたとっても素敵な1冊。
宝石箱や万華鏡という華やかさはないけれど、宝箱のような趣のある、心の大事な部分にそっとしまわれるような、そんな1冊です。おすすめ。
すやまさんのほかのメルヘンたちも読んでみたくなりました。

最後に、この本に収録されている作品を列挙したいと思います。タイトル見てるだけでうっとりです。


収録作品: 霧笛,彫金師と少年,仮面師と弟子,一輪車の村,漁船の沈む日,ユラ山脈を救え!,砂の河,火星の砂時計,スナザメ狩り,奇機械怪報告書,緑の心臓,ダミーM202,銀色の船,一億年プール,素顔同盟

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子供部屋のアリス
子供部屋のアリス
  • 発売元: 新書館
  • 価格: ¥ 1,260
  • 発売日: 2003/11

(2012年感想47冊目)

原題 The Nursery Alice
ルイス・キャロル 著 ジョン・テニエル 絵 高橋康也 高橋廸 訳
おすすめ度★★★★★(不思議の国のアリスにはない良さがあります)


さようなら、なつかしいアリス、さようなら。(p100)



不思議の国のアリスを、ルイス・キャロル自身が、もっと子供な年齢の0歳から5歳の子供たちのために書き直した、妹と呼べる作品があるのはご存知ですか?
それが本書、「子供部屋のアリス」です。
詩や難解な言葉遊びを省略して、テニエルの挿絵を大きく引き伸ばしたバージョンです。

これは、よかった! 
最近不思議の国のアリスブームだったのですが、アリスは昔読んだきりだったので、久しぶりに手に取ってみたのが本書。
詩や言葉遊びこそアリスの醍醐味だという方もいらっしゃると思いますし、それももっともだと思うのですが、詩や言葉遊びを抜かしたからこそ味わえる物語本来の味というものがあります。

また、この本にはこの本ならではの味があり、大変お勧めです。キャロルが書き下ろした序文、詩、そうして上にあげた本編の最後の一行は、なんだかとても切なく、この本を素晴らしく、唯一のものにしていると思います。

テニエルの挿絵を見ながら解説していく感じで語られる語り口も面白い。そのテニエルの挿絵もふんだんに入っていて、0歳から5歳の子供たちと言わずに、アリスを愛するすべての大人たちにもお勧めの1冊になっていると思います。

不思議の国のアリスしか知らなかった方も、ぜひ読んでみてほしい一冊です。
おすすめ。

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オーディンとのろわれた語り部
オーディンとのろわれた語り部
  • 発売元: 徳間書店
  • 価格: ¥ 1,260
  • 発売日: 1997/07

原題 Odin's Monster
スーザン・プライス 著 当麻ゆか 訳
お勧め度★★★★☆(民話らしい民話に仕上がっていてそういうのが好きな人には。)

クヴェルドルフは考え込んだ。魔法使いであり、戦士である女王は、どんな夫を望むだろう? 決まっている、同じように魔法使いであり戦士でもある男だ。

スーザン・プライスの、北欧神話を下敷きにした民話風の物語。そう言いつつ、ほとんど彼女のオリジナルらしいです。
スーザン・プライスといえば、北欧神話や北国を下敷きにしたお話を多数書いている作家さんで、そっちのほうの骨太な世界観と描写には定評がありますね。この作者さんの書いた「エルフギフト」とか好きでした。

魔法使いのクヴェルドルフは、とある国の女王に自分を好きになってもらうため、当代一の語り部であるトードに、自分を歌うように脅迫します。しかし、底意地の悪い魔法使いを拒否したトードは、クヴェルドルフの恨みを買い、その後死霊に悩まされることになって……。

というようなお話。

作者のオリジナルといっても、ところどころちゃんと民話民話してるところがなんとも好感触です。末子がすぐれているとか、最後の老婆に関する真実とか。
それでいて、出てくる死霊は本当に恐ろしくて怖い。でもその死霊もクヴェルドルフに利用された存在であり、トードの力によって徐々に解放されていく様子が面白かったです。

それにしてもクヴェルドルフは、名前は恰好いいのに終始悪役に徹していていっそすがすがしいくらいでした。

久しぶりに彼女の話を読みましたが、相変わらず厳しい世界観の中に生きる人々と、起こる厳しい事件の数々に、、作者の力量を感じます。でも最後はハッピーエンドで、読後感のよい1冊です。でも、ちょっと題名詐欺かも。ほとんどオーディンは出てこないかな……。

この作者さんには、もっと北欧神話を題材にした話を書いてほしいですし、紹介してほしいですね。

北欧神話が好きな方には、お勧めの一冊です。

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エレンディラ (ちくま文庫)
エレンディラ (ちくま文庫)
  • 発売元: 筑摩書房
  • 価格: ¥ 567
  • 発売日: 1988/12


原題 La increíble y triste historia de la cándida Eréndira y de su abuela desalmada
G.ガルシア=マルケス 著 鼓直 木村榮一 訳
お勧め度★★★★☆(好みは分かれると思いますが一読の価値はありだと思います)

あの男の目に光が当たらないよう顔に布をかけてやったが、そのとたんに、あの水死人が自分の夫と同様、一度死ねば二度と蘇ってこない、はかない生命の、寄るべない人間のように思えて胸が張り裂けそうになった。(p61)


「百年の孤独」で有名なコロンビアの作家、ガブリエル・ガルシア=マルケスの短編集。大人のために書かれた、残酷な創作童話らしいです。友人に勧められて手にとってみました(ありがとう!)

内容は、「大きな翼のある、ひどく年取った男」、「失われた時の海」、「この世で一番美しい水死人」、「愛の彼方の変わることなき死」、「幽霊船の最後の航海」、「奇跡の行商人、善人のブラカマン」、「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」の7編を収録。
収録作品の題名からしてすごくシュールなので、これはいわゆる奇書の一種だろうかと身構えていたのですが、読んでみると想像以上になかなかすんなりと読むことができました。ただ、ラテンアメリカ文学は初めて触れるし、内容も独特なので、読んだものすべてを理解できたとは到底言えませんでしたが……。一回読んで理解できたの、半分くらいかなあ……。

そんな中でも個人的には、最初の三編と最後の「エレンディラ」が好きです。エレンディラはかわいそうだけど、透明感のある感じが可愛いです。
無情さと厳しさの中に、幻想的で、どこか悲しくて、それでいて甘美な物さえ感じてしまう筆致が、読んでいて不思議な心地にさせられます。この雰囲気を味わうためにも、一度は読んでみていいのではないかなあと思わせる1冊です。

まあそれでも好みの別れる作品で、合わなかったからと言って忘れられるような作品でもないので、なかなかに人を選ぶ作品だとは思いますが。私は好きな作品です。不思議と、嗅覚に訴えてくる作品でした。薔薇の香りとか、オレンジの香りとか。こういう作品は少ないので、そう言った面からも楽しめた1冊です。
ガルシア=マルケスの入門書としても悪くはないかも?
興味のある方は手にとって見て下さいね。

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逃れの森の魔女
逃れの森の魔女
  • 発売元: 青山出版社
  • 発売日: 2000/02

原題 The Magic Circle
ドナ・ジョー・ナポリ 著 金原瑞人 久慈美貴 共訳
お勧め度★★★★☆(ヘンゼルとグレーテルの良パロディです)

魔女の目は永遠に乾いたまま。それが定めだ。ああ、汚れない心からあふれる涙は、人に与えられたなんとすばらしい祝福であることか! また涙を流せるようになれるなら、代わりにわたしはなにを差し出そう?

題名とあらすじと訳者さんに惹かれて、図書館から借りてきた本。

世界的に有名なヘンゼルとグレーテルのお話を、魔女の視点から描いたお話です。しかも魔女が魔女になる前の話から描かれます。醜いが普通の善良だった産婆が女魔術師になり、そうして魔女になって、お菓子の家ですむ……。ヘンゼルとグレーテルが出てくるのは後半のほうからです。
あらすじなどは童話のほうとほとんど変わらないのに、ああ、こんなヘンゼルとグレーテルもありかも! と思わせてしまうところが、作者のすごいところですね。
また、本書には様々な愛が描かれます。
母親としての愛、キリスト教徒としての愛、神への愛、弱いもの、小さいものに対する愛などです。
名前で呼ばれることもない、そういう意味で非常に童話的な主人公の醜い魔女の、そうした愛であふれていて、心にぐっとくるものがあります。
ヤングアダルト向きの本らしいですが、魔女が非常に子供を大切にする母親なので、内容的にはお母さんが読んだほうが心に来るものがあるのではないかと思います。
でも私のお気に入りは、主人公の魔女と彼女が救ったお役人の息子のペーターとの心の交流です。

ヘンゼルとグレーテルに対しても、日本ではグレーテルが妹で兄がヘンゼルですが、外国ではグレーテルがお姉ちゃんなのが一般的とか、勉強になりました。

あまり厚い本ではないのですが、内容は濃厚です。ヘンゼルとグレーテルが好きな方は、お勧めの一冊です。

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