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紅茶好きの管理人が読んだ読書の記録のためのブログ。ネタバレありですのでご注意ください。
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マユリ
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女性
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Since2010.11.26
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読書と音楽とゲームとおいしいものと人形をこよなく愛する多趣味な人間です。
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Arknoah 1 僕のつくった怪物
Arknoah 1 僕のつくった怪物
  • 発売元: 集英社
  • 発売日: 2013/07/05





(2014年読書感想1冊目)

乙一 著 toi8 イラスト

おすすめ度★★★☆☆ (3・5くらい。王道でありながら癖のあるファンタジー。)


「パパがそうのぞむのなら」
泣いている僕の後ろから声が聞こえてくる。
「ぼくは世界だってこわしてあげる」(p38)



独特なミステリ小説を描いてきた乙一さんの、(多分)初のファンタジー小説。
学校でいじめられていたアールとグレイのアシュヴィ兄弟は、ある日父の遺品である絵本、アークノアを見つけてしまう。そうして、絵本の中の世界に流れ着いてしまった!
元の世界に帰るには、自らの破壊衝動が形となった、怪物を殺さなければいけなくて……。

というお話かな。

冒頭ははてしない物語をなんとなく思い起こさせたり、本の中の世界に流れ着いてしまったりと、お決まりの展開が続き、「違う、乙一さんはこんな普通のお話書かない!」と思っていたら、やっぱり普通とは違う物語でした。
アークノアの世界観が、緻密で、ちょっと恐ろしくて、素敵です。
特に住民たちが自らの創造主のことを意識し、その眼をいつも気にしているというのと、死んでも翌日には生き返る(死は通過点)という設定は、非常に乙一さんらしいひねり方をしているし、ちょっとダークな世界観は非常に好みでした。
途中中だるみしているなと思うところもあったけど、アールの造った怪物の正体がわかったあたりから、一気に読んでしまいました。
面白かったです。

しかし今回の最後でグレイは無事元の世界に戻れたけど、もう出てこないのかな? とか、新しく来た異邦人はどんな子なのか? とか、創造主はどんな人間なのか? とか、アールはもとの世界に戻れるのかな? とか、続きが気になる終わり方でした。
次巻は世界も広がりそうな要素が沢山ありますね。

また、登場人物の名前がほぼ全員紅茶にちなんだ名前というのも面白かったです。紅茶好きにはたまらなくて、元ネタを検索してみるのもいいかも、なんて思ってしまいました。

私はキャラクターで言うとルフナが好きです。ルフナもまた出てきてくれそうなので、続刊が楽しみ。toi8さんのイラストも素敵でした。
結構ページ数多いですが、読みだすと面白いと思います。
ファンタジー好きや乙一さん好きな方はぜひ。
続きも楽しみに待っていたいと思います。

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煌夜祭 (中公文庫)
煌夜祭 (中公文庫)
  • 発売元: 中央公論新社
  • 発売日: 2013/05/23





(2013年読書感想79冊目)

多崎礼 著 

おすすめ度★★★★★ (おもしろかった! 冬至の日に再読したいです。)


さあ、煌夜祭をはじめよう。(p290)


良質なファンタジー小説を書かれると聞いた国内の作家さん、多崎礼さんのデビュー作の文庫版。
この文庫には書下ろし短編、「遍歴」が同時収録されています。
冬至の日に合わせて読もうと思ったら、それがかなわず、読み始めたのはクリスマスイブ。
でも、読み終わったらやっぱり冬至の日に読みたかったなあと思いました。

冬至の日に語り部が集まって互いの知っている話を語って聞かせる煌夜祭。
魔物を追い払うという伝承があるこの祭りはなぜ始まり、何の意味があるのか?
これは美しく、そして切ない魔物と語り部の物語です。
トーテンコフとナイティンゲイルという二人の語り部が、様々な魔物に関する物語を語るという構成で物語は進み、それぞれの話が一つにつながっていく様は圧巻でした。
アラビアン・ナイトみたいな話の構成と思ってもらえればいいのかな?

とにかく面白く、一気に読んでしまいました。美しく、切ない話。魔物という存在を、ここまでいとおしい目線で語った小説にはなかなかであったことはありませんでした。最後のほうでは思わず涙腺が緩んだりして……。
これから読む方は、短編も収録されている文庫版がおすすめ。切ないけれど温かい気持ちになれます。

複雑に絡み合った登場人物や物語は、ファンタジーを読み慣れていても理解するのに時間がかかりましたが、最後の感動は本当に素晴らしい。
章立ても短めなので、読みやすくすらすらと行けます。
何よりも本当に、暗い冬の夜に読みたい、情緒のあるお話です。
多崎さんはほかにも沢山の本を書いていますが、どれも評判がいいようなので、これからまた著者のほかの本も読んでみたいなと思いました。年末にこんな本に会えたことを感謝したい、とっても素敵な1冊でした。おすすめです。冬至の日にまた再読したいなって思っています。

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狐笛のかなた
狐笛のかなた
  • 発売元: 理論社
  • 発売日: 2003/11




(2013年読書感想65冊目)


上橋菜穂子 著
おすすめ度★★★★☆(切なく、だけどどこかきれいなファンタジー。)


(……この子らは、蜘蛛の巣の、細い糸の先でふるえている、透きとおった水の玉のようだ。)(p216)



上橋菜穂子さんといえば、「守り人」シリーズ「獣の奏者」シリーズが特に有名ですが、この「狐笛のかなた」は一冊完結ものです。
340ページと、決して長すぎはしない本なのに、読み終わったとき、長い長い時の中を共に歩んでいったような、そんな不思議な気持ちにさせてくれる一冊でした。
小夜は産婆の祖母と里のはずれで暮らしていた。ある日、一匹の狐を助けるために、近寄ってはいけないといういわくありげな屋敷に身を隠したのがきっかけで、人生が大きく動き始める……、といった導入かな。

上橋さんの物語のすごいところは、とにかくまるで自分たちもその景色を「視ている」ような気分にさせられる、その素晴らしい描写力にあると思います。
小夜に助けられた野火が、小夜と小春丸と混ざって遊びたいと願う最初のほうのシーンからもう泣きそうになってしまいました。切ない……!

この野火がすごくいいやつで、最後はそうなるのかあと思いつつ納得の結末でした。
野火には報われてほしと思ったので、ちょっと切ない余韻の残る終わり方でしたが、この終わり方は好きです。
私は小春丸も好きだったので、逆に小春丸の出番が予想以上に少なかったことが残念でしたが。
全体的にページの割に人物がたくさん出てくるので、もっと書き込んでほしかった登場人物とかも多くて、そこがちょっと惜しかったです。木縄坊とか好きだったのですが。そう考えると、もうちょっと分量があってもよかったのかもしれないですね。

でも、非常に切なく、けれど優しい気持ちになれるような、満足感の高いファンタジー小説です。やっぱり上橋さんの書くファンタジー小説はいいなあと思ってしまいました。ほかの物語も久しぶりに読みたくなったりして、余韻に浸っています。

あと、何と言っても表紙がきれいで、断然ハードカバーのほうがお気に入りです。

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猫目堂
猫目堂
  • 発売元: 文芸社
  • 発売日: 2006/02





(2013年読書感想64冊目)


水名月けい 著
おすすめ度★★★☆☆(不思議でファンタジックな物語。)

≪喫茶・雑貨 猫目堂≫
『あなたの探しているものがきっと見つかります。
どうぞお気軽にお入りください』(p6他)



猫が好きなので、猫ものの本は大体読んでしまいます。(余談ですが読書好きって猫好きな方が多い気がします)
この本は母が知り合いから借りてくれた本です。
山奥のバス停を降りたところにある、喫茶、猫目堂。
そこには黒髪と金髪の二人の美少年が働いています。
何か後悔のある人々が、その喫茶店に迷い込んで……??

正直、ありきたりのお話で、文章もうまいとは言えないです。でも、普遍的だからこそ心に響くものがあるように感じます。最初読んだときは、ちょっと簡単すぎるかなー?? と思ってしまいまして、読むのをやめようかと思ったのですが、不思議なことに読み進めると、何度も目頭が熱くなってしまいました。
このお話には、不思議な良さがあるとおもいます。どうやらすっかりこの不思議な本の世界に引き込まれてしまったようです。

お話は非常にファンタジックなお話で、天使とか出てくるし、ファンタジー小説だなあという感じでした。
ふしぎに癒されていく、絵本のような感じでしょうか。すぐ読めますし。
そうして、タイトルは猫ですが、印象に残っているのは犬のほうです。
どのお話が印象に残っているとかはないのですが、読後感はほんわかするような、そんなちょっと心に残る小説です。
簡単に読めますし、ちょっと癒されたいときにおすすめです。

全体的にすごく説明不足なのですが、その説明不足が不思議とファンタジーな雰囲気を出していて、読み進めるごとに引き込まれていく感じです。
私も猫目堂みたいなお店があったら行ってみたいなあって思いました。
そんな少し不思議な小説。なかなか面白かったです。

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太陽の石
太陽の石
  • 発売元: 東京創元社
  • 発売日: 2012/10/30





(2013年感想56冊目)


乾石智子 著 羽住都 表紙絵 

おすすめ度★★★★☆(4・5位。完成度は言うまでもなく、なんとも切ない一冊。)


「ゲイルとテシアのときにぼくらは間違った。正す責任はぼくらにある」(p199)


デヴュー作、「夜の写本師」で日本のファンタジー界を瞠目させた乾石智子さんの第三長編(読む順番としては6冊目)
「オーリエラント」シリーズの3作目でもあります。

田舎の村で拾われっ子として育ったデイスは、ある時太陽の石(オルヴァン)を拾った。そのことが、彼の記憶を徐々に蘇らせていき、深き闇の根付く運命へと導いていく……!
というお話かな。

乾石さんはもう本当大好きな作家さんで、これで全作品読みましたが、ハズレがない。これは本当にすごいことだと思いました。読み始めるのに時間はかかるかもしれないけれど、読んだらその面白さは保証されています。重厚なファンタジーが読みたい時には是非。

今回の物語は、壮大な(壮大すぎる?)兄弟喧嘩と言ったところ。イザーカト9兄弟がメインのお話ですが、きょうだい以外の登場人物(ネアリイやピュリアン)がいい味を出しまくっていて! 好きでした。
兄弟のなかで好きなのは末っ子の男二人ですね。特にイリアは本当に好きでした。

このシリーズ、魔術師が背負うことになる深い闇を毎回痛感させられるのですが、今回はなんとも切なかった。
兄弟って、すごく感情的には複雑で、仲がいいとか悪いとかでは言い切れず、愛情や妬みや、理解と理解の不足などが同時に混在したりするのですよね。
9人もきょうだいがいればそれは如実になるわけで、きょうだいならではの心の闇や愛情の書き方が、本当にリアルでした。
それにしても乾石さんの長編は、女の人の書き方が本当に魅力的。ネアリイもナハティも真逆の女性でしたが、どちらも魅力的でした。
個人的にはしかし最後、彼ら(ネタバレになるので誰かは書きませんが)を生き残らせたのが、乾石さんなりのメッセージであり、希望を託したのかなあと感じました。

乾石さんの描くストーリーは本当に重厚で魅力的。そうしてユーモアや希望もある。本当素敵です。
これからも追いかけて行きたい作家さんです。次回作も楽しみ。

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Copyright c Enchanted by Books マユリの本棚 2冊目。。All Rights Reserved.
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