(2012年感想69冊目)
東川篤哉 著
おすすめ度★★★☆☆(可もなく不可もなくという感じ。嫌いではないです)
「あなた、たいした推理力だけど、いったい何者? なぜ執事なんかやってるの?」
すると執事影山は、銀縁眼鏡を軽く持ち上げ、いたって真面目な顔でこう答えた。
「本当はプロの野球選手か、プロの探偵になりたかったのでございます」(P40)
ちょっと前に話題になった言わずもがなの本です。図書館で予約したら、10か月待ってやっと手元に回ってきました。
今どきのお嬢様刑事と毒舌執事が解決する6つの短編ミステリです。
話題の本は賛否両論でめったに読まないのですが、別段悪くないんじゃないかなー、というのが感想です。短編だからかいきなり事件から入るとか、殺されるのは1事件一人とか、ミステリ好きには物足りないけれど、普段ミステリを読まない人にはいいのかも?
細かいミステリのお約束事は守っているし、非常にオーソドックスなミステリだと思うので、そこは楽しめました。
事件自体は簡単なので、一緒に犯人を考えて楽しめるのもいいところかも。まあ、簡単すぎる事件なので、あまり印象に残ったお話がないのも事実なのですが……。
ただ、欲を言えばもっと事件以外の部分が読みたかったかな……、という印象であります。
影山も言われるほど毒舌じゃないですし。麗子はお嬢様にしてはちょっと軽すぎるので、キャラの書き込み不足というか、薄いな……、と感じることは多々ありました。
あと、連作短編の中で、キャラクターの関係とかが変わらずじまいなのも残念かも。影山と麗子の関係はもっと発展してもいいような気がするんだけど、どうなんだろう。まあ、恋愛要素が出てきたらちょっと面倒くさそうなので、今のままの距離感がいいのかもしれませんが……。
何はともあれ、非常にキャッチーなお話で、気軽に読めるのは悪くないと思います。まあ、ただこれにお金を出したいかと言われると微妙かなという気もします。でも、続編を読んでみてもいいかな、と思う程度には、悪くない作品だと思いました。
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