原題 Death and the Arrow
クリス・プリーストリー 著 堀川志野舞 訳 佐竹美保 絵
おすすめ度★★★★☆(18世紀ロンドンの雰囲気が素敵です)
「いやだ!」トムはさけんだ。「ここでやめるなんていやだ。ウィルの身になにが起きたのか、どうしても知りたいんです。ウィルの人生をこのまま忘れさせたりはしない。博士にも、父さんにも、だれにもぼくをとめられやしない!」(p180)
トム・マーロウの奇妙な事件簿の1冊目。
図書館で表紙の素敵さにやられて借りてきてしまいました。この絵、佐竹さんですね。佐竹さんのイラスト、好きです。
舞台は1715年のロンドン。活気にあふれるこの街で、一つの奇怪な殺人事件が起こります。
親友を殺人犯に殺されたトム少年は、殺人犯を突き止めるため、独自に調査を開始するが……。
というようなお話です。
これはなかなか面白かった!
まず、18世紀ロンドンの描写がいいです。ホームズ以前のこの町に関する知識は乏しいのですが、当時の街並みが活き活きと描かれて、とても好感が持てました。
そこで暮らす人々も素敵です。出てくるキャラクターがみんな素敵で、主役のトムの影がかすんでしまいそう。特に博士とオーシャンが素敵です。「私には剣がある!」は素敵なセリフだと思いました。
冒険ミステリーとしても読めるだけじゃなく、トムの成長の様子も描かれていて、なかなかそれが爽やかでいいのです。いつか博士と一緒に冒険に出てくれたらいいなあ……。
ミステリ部分がちょっと薄いので、やっぱり冒険ミステリとして読むのがいいかな。
なにはともあれ、予想以上に楽しめた1冊。佐竹さんのイラストもふんだんに入っているのがうれしいです。
全三部予定で、今後も順調に刊行されるとのこと。
続きも読んでみたいと思います。
おすすめ。
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