(2012年感想95冊目)
三上延 著 越鳥はぐ イラスト
おすすめ度★★★★☆(個人的には可もなく不可もなくといったところ。でも続巻も読みたい。)
「わたしは、石段から突き落とされました。この二ヶ月、その犯人をずっと捜しているんです」(p216)本屋大賞にもノミネートされた話題のラノベ、「ビブリア古書堂の事件手帖」
普段はあまり話題の本は読まないのですが、この本は図書館で半年待って借りてきました。今更感があるかもしれませんが、読めて良かったです。
何より、この表紙が素敵すぎます。
北鎌倉にひっそりと店を構えるビブリア古書堂。そこに本を持ち寄ったことがきっかけで、店員として働くことになった五浦大輔。店長の篠川栞子は、並外れた推理力で、奇妙な客たちと古書にまつわる謎を解き明かしていく……。
というようなお話。
個人的には可もなく不可もなくといったところなのですが、本に対する愛情と、丁寧に描かれる物語には好感を覚えます。大輔くんはあまり個性を感じさせない人物という感じで、一人称の物語としてはこれくらいがちょうどいいのかも。栞子さんは超内気な美少女ということで、キャラ造形的に狙いすぎてる感じに思えますが、所々に挟まる二人の微妙な距離感は、思わずにやりとさせられてしまいました。
いわゆる日常の謎系ミステリなのでしょうが、栞子さんは基本安楽椅子探偵だし、結構やり方が過激な部分もあるので、なんというか最終話では特に黒い印象を受けました。
というかこの話、短編集なのですが、どの話もなかなかにビターというかブラックで、そのあたりがラノベよりちょっと読者の幅を一般向けにしているように思います。
とにかく、栞子さんや大輔くんより、周りの人物の方が魅力的に見えてしまう作品でした。
ミステリとしても、どれも薄味かなあ。
とはいえ、出てくる古書はどれも読んでみたいなあと思わせる作品ばかりで、やっぱり本好きとしては引き込まれる作品でした。
特にお気に入りの話は、『論理学入門』と『落穂拾い・聖アンデルセン』でしょうか。坂口夫婦はよかったです。
次回作も読んでみたい一冊です。
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