(2012年感想98冊目)
米澤穂信 著 片山若子 表紙絵
おすすめ度★★★★☆(小鳩君と小山内さんのコンビが癖になってきます。)
「一朝一夕には上手くいかないさ。すぐに完璧にやろうなんて、ぼくたち、ちょっと短気すぎたんだ。がんばろう。じっくりやっていこうよ」
諦念と儀礼的無関心を自分の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を。(p243)米澤穂信さんの学園ミステリ、「小市民シリーズ」の第一巻。
「羊の着ぐるみ」「For your eyes only」「おいしいココアの作り方」「はらふくるるるわざ」「狐狼の心」の5編の短編を収録しています。
学園ミステリで、分類としては日常の謎系のミステリになります。連作短編で、各章ごとの謎はもちろん、全体を貫く謎が用意されてるのも嬉しいですね。こういうの好きです。
さて、主人公の小鳩常悟郎君と小山内ゆきさんは、過去のとある出来事から(この巻では明らかになっていません)目立たない小市民になろうという誓いを立てたぴかぴかの高校一年生。果たして、二人は小市民になれるのか!? というお話です。
最初は、読むスピードが遅かったのですが、さすが米澤さん、後半になるにつれて読むスピードが早くなり、最後は止まりませんでした。つまり、後半になればなるほど、面白かったです。小鳩くんの語り口も面白いし、ふたりの明らかにされない過去も気になるで、どんどん読み勧められます。最初は二人共なぜ小市民にこだわっているかがわからず、得体がしれなかったのですが。
キャラクターも魅力的で、氷菓もアニメ化されたし、次はこれもアニメ化されるんじゃないかなあと思える程に面白いシリーズでした。
小山内さんの本性はちょっと怖いけれども、小山内さんの過去も気になる。小鳩くんの昔を知る友人の堂島健吾もいいですね。彼がまっすぐ小鳩くんを昔のお前は嫌な奴だったが嫌いじゃなかった。と言ったシーンは印象的でした。
次の巻も気になるので、早速読書してみたいと思います。おすすめの一冊です。
美味しそうなお菓子とか洋菓子屋さんとかが出てくるので、読み終わったあとにケーキバイキングとかに行きたくなったのは秘密です。でも、表紙も題名も可愛らしくて、そんなところがお気に入りです。中身はそんなに可愛くないところがいいのですね。
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