(2013年感想54冊目)
すやまたけし 著 宇野亜喜良 絵
おすすめ度★★★★★(素敵なメルヘンが詰まった、宝箱のような一冊。)
彼女はぼくと同じ側にいる人間に違いなかった。初めて同類に会えたのだ。(p92)
この本に収録されている「素顔同盟」が、所属している読書サークルの今年の夏の課題図書でした。
すやまたけしさんという方は初めて知ったのですが、とっても素敵なメルヘンを書く方ですね。一気にその世界観に引き込まれてしまいました。
私が興味深いなと感じた点は、16篇ほどのメルヘンが、最初はいかにもファンタジックだったのが、後半に収録されているものになるにつれSFのような話になっていくという点でしょうか。
きっと作者のすやまさんは、過去という懐かしさの中でメルヘンを紡ぐことより、未来という希望の中でメルヘンを紡ぐことを志向していったのかなと感じました。
どのお話もファンタジックでありながらSFで、メルヘンらしく含蓄に富み、読んでいてたまらなく愛おしい気持ちになります。
古い本ですがどのお話も古さは感じないですし、色あせない魅力があると思っています。
現在は入手困難な本のようですが、お近くの図書館に蔵書のある方は、ぜひ読んでみて欲しい一冊です。
宇野亜喜良さんの挿絵がまたとっても素敵な1冊。
宝石箱や万華鏡という華やかさはないけれど、宝箱のような趣のある、心の大事な部分にそっとしまわれるような、そんな1冊です。おすすめ。
すやまさんのほかのメルヘンたちも読んでみたくなりました。
最後に、この本に収録されている作品を列挙したいと思います。タイトル見てるだけでうっとりです。
収録作品: 霧笛,彫金師と少年,仮面師と弟子,一輪車の村,漁船の沈む日,ユラ山脈を救え!,砂の河,火星の砂時計,スナザメ狩り,奇機械怪報告書,緑の心臓,ダミーM202,銀色の船,一億年プール,素顔同盟
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