(2014年読書感想5冊目)
青木祐子 著
おすすめ度★★★☆☆ (好きな雰囲気ですが、ちょっとあっさりしていて物足りないです。)
「竹蔵も言っていただろう。世の中、悪いのがみんな悪いわけじゃないし、いいばかりがいいってわけじゃない」 (p249)
大好きな少女小説家、青木祐子先生の、たぶん初めての一般小説は、なんと時代小説です!
時代物はめったに読まないのですが、作家買いしてしまいました。
というか、富士見書房が時代小説レーベルを出し、そこに青木先生を持ってくるとは、意外でした。
時代物は私にとってもなじみがないですが、気軽に読めそうなのはいいですね。
渋谷町に居を構える薬売りの守屋真(もりや しん)
彼を主役にした、ミステリ仕立ての短編集で、表題作「朧月夜の怪」「七十五日の瓦版」「料理茶屋の女」「毒を摘む」の四編を収録しています。
短編集なので、どれも事件の幕切れがあっさりしすぎてる感じがあるのが、ちょっと気になりました。話の流れや犯人もすぐに解ってしまいましたしね。結局この人たちはどうなるんだろう? というのが描かれないので、想像の余地があるというか、ちょっともやもやするというか、薄味というか。
でも、嫌いではないです。淡々としていて、不器用ですが温かい守屋さんの人柄は好感が持てますし、続編が出るなら買って読みたいです。
お話としては、「七十五日の瓦版」「毒を摘む」がよかったかな。綾とかかよとか、青木先生の書く女の子ってすごくかわいらしいので。
まあ、どれも若干バッドエンドというか、ハッピーエンドではない感じでしたが、この時代ならではの人情のもつれとか、ままならさというものを、堪能できる一冊だったと思います。
続編が出たら買いたいな。
私は祥太が好きですね。
守屋さんの過去とかも何かあるのかな? と勘ぐってしまいます。
青木先生ならではの、落ち着いた文体が好ましい一冊でした。
かよと弥吉は、このまま長じて一緒になってくれればいいななんて思ってしまう私は、少女小説好きの人間です。
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