- 神の名はボブ
- 発売元: 東京創元社
- 発売日: 2013/11/20
(2013年読書感想78冊目)
メグ・ローゾフ 著 今泉敦子 訳 ワカマツカオリ 表紙絵
おすすめ度★★★★☆ (とにかく訳が秀逸! 面白かったです。)
「あなたはくずよ。なんの価値もない、くずそのものよ」(p212)
もしもこの地球の神が、わがままで怠け者で、自分勝手で、女の子とHすることしか考えていないティーンエージャーの男の子だったら!? もしその神様が、女の子に恋をしたら!?
この本、「神の名はボブ」は、まさしくそういうお話です。
地球に生活していて、理不尽なことばかり起こるこの世界の状況を、作者のメグ・ローゾフはこのような発想で説明づけています。
この本、おもしろかったです! 何よりも本当に訳が秀逸。邦訳ものにありがちなちょっと硬い訳ではなく、本当に今どきのティーンエージャーが使うような言葉で翻訳されているので、違和感なく読むことができます。
この世の神、ボブは本当にどうしようもない奴だけど、ある意味ですごく純粋で、憎めないのですよね。
何より、表紙絵のボブとルーシー、かわいすぎませんか!? もうこの表紙だけで、この本は素敵だなと思いますが、訳や読みやすい短い章立てなど、本当にYA世代の子に対して、親切な設定の良書になっていると思います。
ミスターBみたいな苦労性の真面目なキャラは人気ありそうだけど、私は断然ボブが好きだなあ。本当にすごくティーンらしいと思います。
それにしてもルーシーはちょっとかわいそうだったかも。ルークとうまくいってくれますように。
文章もきれいな印象で、とにかく本当によくできた本という印象でした。
そしてタイトル。原題のThere is No Dogというのは、犬がいないのではなく、逆から読んで神はいない、が正しいのですね。
宗教や戦争などの難しい問題に取り組み、なかなか奥の深い一冊でもあります。
面白かったです。ところどころくすっと笑える感じでした。
こういう本をYA世代にもっと読んでほしいな。
この本、ファンタジー小説に分類していいのか悩みましたが、たぶんアーバン・ファンタジーってやつだと思います。
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