(2013年読書感想72冊目)
中里友香 著 藤原薫 表紙絵
おすすめ度★★★★☆(やっぱりこの方の描く文章とかが大好き!)
(……血よりも熱く、蜜よりも甘い。きっと復讐は極上の麻薬だ)(p297)今個人的に一番注目の日本人作家さん、中里友香さんの新作。
表記などがないですが、これ一冊では完結せず、続編があるようです。
という前情報を目にしていなかったら、きっとすごく悶々としていたかもしれません。
ユリアンとエミールという二人の少年を軸に、美しい魔女リオネラが鍵を握ることになる美しき復讐譚。というか、復讐の復讐の物語です。
端正な文章、みずみずしい登場人物、鮮やかな情景描写で織り成される少年の世界は、きっとそういうものが好きな人にはたまらなくそそるはずです。
表紙を見て感じるものがあれば間違いなくお勧めです。裏表紙にはリオネラが描かれていますが、こちらも美しい。
物語はコンチェルトのように2つの旋律が重なり合って、奏でられていきます。
最後ユリアンとエミールが出会ってからの展開が、個人的にはたまらなく好きでした。
萩尾望都さんがお好きな方にはたまらない世界観を描く作家さんです。
また、物語のカギとなる謎めいた美女、リオネラがいいです。
魔女という設定が、この小説を不思議とより幻想的なものにしています。
ゴシックでファンタジー、そんな小説です。
エミールが養蜂家に身をやつすという設定も興味深かったです。
甘く、復讐譚なのに爽やかともいえるみずみずしい世界観や文章が、たまらなく好みでした。
続編も早く刊行されるように願っています。
少年好きは必読の作家さんだと思いますよ。でも、女の子もかわいいです。
幻想的な、ちょっと不思議なお話で、今もその余韻に浸っています。
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