(2013年読書感想69冊目)
香月日輪 著
おすすめ度★★★☆☆(なんてことはない平和な話でした。)
時とともに、変わらないものなど何もない。妖怪アパートだって、例外じゃない。 (p186)
香月日輪の大ヒットYA小説、「妖怪アパートの幽雅な日常」シリーズの番外編。
古本屋と世界旅行に出かけた夕士。ラスベガスで担任の先生、千晶と合流し、忘れられない年の瀬を迎えることになる外伝のほか、妖怪アパートの住民のその後がよく分かる、ファン待望の番外編!
何というか、すごく平和な話です。大きな事件が起こるわけでもない、起こるとしてもそれは小さな事件で、何というかこのシリーズは本当に、「日常」を描いたシリーズなんだなあと改めて思いました。
日常の中における「気づき」みたいなものがすごく大切で、それを大事にしていこうと思えるお話です。
妖怪アパートのその後の様子は、なんだかいなくなってしまう人が多くて、すごく寂しかったです。
でも、別れがあれば出会いもあるように、いつか第二の夕士君が現れて、夕士君が画家や詩人の立場になっていくのかなと思えるような話でした。
正直、このシリーズを読むと思うところが、いいことも悪いこともたくさんありました。
心にすとんと落ちることもあれば、鼻につくところもあって……。
でも、妖怪アパートというものに出会えてよかったなと思っています。
この本は、一応作中に出てきた人物たちのその後が分かる感じで、本当に最後の一冊なんだなあって思いました。
短い話、なんてことはない日常ですが、そういったものが本当大事なんだなあと思います。
しかし夕士くんは本当恵まれすぎ! いつまでも自分が特別だということを忘れないでほしいなって思いました。まあ、感受性が素直なので、読んでて嫌な感じは受けないのですが。
妖怪アパートの漫画も出てるそうですね。それも読みたいような、もう妖怪アパートはこれ以上いいような、やっぱりいろいろな思いのこもったシリーズなのでした。
でも、とても面白かったです。
[0回]
PR