(2013年読書感想66冊目)
マイケル・バックリー 著 三辺律子 訳
おすすめ度★★★☆☆(3・5くらい。後半になるにつれておもしろくなってきます。)
「それに、レルダおばあちゃんが言ったことをきいてたでしょ。あたしたちはグリムの一族で、これはグリムの人間がしなくちゃならないことなんだって。おとぎばなしにかかわる事件を解決するのが、あたしたちの仕事なんだから。(後略)」(p117)
最近のYAファンタジー小説はディストピアものかパラノーマルものが流行っていますが、児童書はフェアリーテールものが流行っているようなので、試しにと一冊読んでみました。
サブリナとダフネの姉妹はある日、両親が行方不明になったために孤児院にいたが、死んだはずのおばあちゃんが現れて、彼女たちを引き取った。しかも、サブリナとダフネはあの、グリム兄弟の子孫なのだというが……??
というさわりのお話。
これはなかなか面白かったです! 最初はサブリナの疑い深い性格や、ダフネの順応性の高すぎる性格にも違和感があったのですが、二人の正反対な性格がなかなかいい味を出しているし、後半になればなるほど面白くなっていきます。
何より、姉妹のやってきた町が、おとぎ話や童話の登場人物たちが暮らす街という設定がたまらなく楽しいです。グリム家はそんな彼ら(エバーアフターと呼ばれています)をこの街に閉じ込めた張本人として、むしろ嫌われているという設定も面白い。
しかしそんなグリム家が、おとぎ話の住人達と協力して、事件を解決していきます。
事件簿と題名にはついていますが、ミステリ色はほとんどなく、ほぼファンタジーです。
主役の姉妹には最初イライラさせられますが、おばあちゃんは素敵だし、ほかの脇役も個性が光っています。私は何気にチャーミング市長が好きです。今回はいいやつでしたが、次巻からはどうなるのでしょうか? 白雪姫のことも気になりますし、少なくとももう一冊は読んでみたいと思えるシリーズでした。
ただ、おもしろいシリーズなのですが、おもしろくなるのが後半からなのが、何とも残念です。
でも、おとぎ話の登場人物が職を変えて町で暮らしているのはおもしろいですし、きっとお気に入りの童話の登場人物も出てくるはずなので、少しでも興味があれば読んでも損はないかなあと思える一冊でした。
おばあちゃんのお料理、見た目はかなりエキセントリックだけど食べてみたいです。
次は姉妹が学校に行く話かな? 何やら怪しげな団体も影をちらつかせてますし、なかなか奥が深そうで、楽しめそうな物語です。
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