(2013年読書感想62冊目)
森晶麿 著 丹地陽子 表紙絵
おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。すごく興味深いミステリでした!)
「僕が行うのは美的推理であって、導き出された真相が美的なものでなければその時点で僕の関心は失われる。美的でない解釈が解釈の名に値しないように、美的でない真相もまた真相の名に値しない」(p14)
最近いろいろなところで名前を聞くようになってきたこのシリーズ。図書館に置いてあったのを見かけたので、借りて読んでみることに。
まず、この何とも言えないお洒落な題名がいいですよね。丹地陽子さんの装丁も素敵です。
24歳という若さで教授職に就いた美学学者の通称「黒猫」
大学院でポオ研究をしている、彼の面倒を見ることになった「付き人」の私。(女の子)
彼らが解決する、ちょっと不思議な事件とは??
この本は予想以上に私の好みでした! まず、美学という普段あまり接しない学問にスポットが当たっているのがいいですね。黒猫も美学学者として、すごく変わっているけど優しくて、そんなキャラの立った登場人物たちが織り成すミステリにひき込まれていきました。
また、黒猫と付き人である女の子の距離感が最高にいいのですよ! 黒猫のこの優しさは付き人ちゃん限定では?? と勘ぐってときめいていました。
何というかミステリなのですけど、青春少女小説みたいな塩梅の二人の距離感に、キュンキュンしてしまいました。30分くらいの枠で、ドラマ化したらいいのにななんて読みながら思ってしまいました。
話の内容は少し小難しかったけど、少しだけ籍を置いていた大学院時代を懐かしく思い起こせました。
そういう意味でも青春していてよかったなあと思います。
ミステリとしては、非常に端正なミステリという印象で、多少の強引さはあるものの、小気味よいです。
私が好きなのは1作目、「月まで」と3作目「水のレトリック」でしょうか。なんともこの作者の描く女性たちがかわいらしくて、たまりませんでした。
ただ、後ろの選評にも書いてありましたが、ポオの小説の犯人について言及されてたりするのはいかがなものかなと思いました。でも、この本読んでからポオを読んだらおもしろそうですね。
2作目からは長編という形式になるのでしょうか。
いずれにしても大変好みの作品なので、続きも読んでみたいなあと思いました。
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