(2013年感想51冊目)
カサンドラ・クレア 著 杉本詠美 訳 多田由美 表紙絵
おすすめ度★★★★★(面白かった! 今年随一のお気に入りシリーズになりそう。)
「べつに不幸じゃないさ。不幸なのは、目的もなく生きることだ。だが、僕にはちゃんと目的がある」
「妖魔を退治すること? それとも、お父さんの敵を討つこと?」
「両方だ」 (p234)全米で大ブームを巻き起こし、今年米独で映画公開される(全世界で)大人気のYAファンタジー、「シャドウハンター」シリーズ(原題The Mortal Instrumentsシリーズ)の感想です。
美人で心配性の母ジョスリンと暮らす15歳の少女クラリー。ある日親友の男の子サイモンと訪れたクラブハウスで、天使のように美しい三人の少年少女が、ひとりの若者を「狩って」いるところを目撃したことから、クラリーの人生は一変する。彼らは、妖魔を狩る「シャドウハンター」だったのだ!
本当にさわりのあらすじはこんな感じでしょうか。
読み出すまでにすごく時間の要った本だけど、これは面白かった! 話が次々と転がってどんどん事件が起きるので、読む手が止まりませんでした。
別所では、海外のラノベとか、美形だらけのハリー・ポッターとかそういう意見もあるみたいですが、でも複雑に絡み合った人間関係や恋模様などはこれからどうなって行くのか本当に気になる!
若いシャドウハンターのなかで随一の腕前を誇る自信家のジェイスと、何でも話せる心安らぐ幼馴染、サイモンとのあいだでモヤモヤする主人公のクラリー。
でもサイモンはジェイスの親友であるアレクの妹、イザベルにメロメロみたいだし、アレクはアレクでゲイ・セクシャルのようで、同じくゲイの魔法使い、マグナス・ベインに口説かれていたし、なんというかこう書いてみただけで、色々な形の愛や友情が堪能できそうで、そんな人間模様がたまらなく、このティーンエイジャーたちを見届けたい! という気持ちにさせてくれる一冊でした。
登場人物も個性的。
どのキャラクターも甲乙つけがたいくらい好きです。
本当、まだ上下巻の上巻を読み終わった段階ですが、人間関係の見せ方がうまくて、既にぐいぐいハマっています。個人的に、今年一番のヒット・シリーズになりそうな予感。
著者のカサンドラ・クレアは日本の漫画やアニメ文化が好きななかなかオタクな人物のようで、指輪物語やハリー・ポッターの同人誌を書いていたり、熱心なRPGゲーマーらしい様子が伺えて、ちょっと親しみが湧きます。クラリーもサイモンもいい意味でオタクだしね。
とにかく、こんなにハマるとは読むまで思いませんでしたが、読んでよかった! と思えたシリーズでした。
個人的に私もD&Dゲーマーなので、サイモンが同志だと思わせるくだりは嬉しかったです。
あと、ジェイスの食の好き嫌いもちょっとツボで印象に残っています。ベルガモットとキュウリが嫌いで、木須肉(豚肉と卵と木耳の炒め物)が好きというのが、実は本編よりも印象に残っています。
そんな上巻はとっても先が気になるところで終わっているので、このまま下巻へ!
今年映画公開ですが、日本でも公開してくれないでしょうか。無理だろうなあ。
とにかく、今年の読書でも指折りの収穫と言えるシリーズでした。ぜひ読んでみてほしいです。
[2回]
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