(2013年感想47冊目)
原題 Vampirate Empire of Night
ジャスティン・ソンパー 著 海後礼子 訳 三浦均 装画
おすすめ度★★★★☆(面白かったです。シリーズ中随一の怖さ。)
「ぼくは血に飢えているんだ!」コナーは大声で叫んだ。(中略)「ぼく、コナー・テンペストは、血を欲している、血が必要なんだ!」(p250)
吸血鬼と海賊もののホラー・ファンタジー、シリーズ待望の12巻。本当、このシリーズがまた読めるなんて嬉しい! 大好きなシリーズです。
この本は、原本5冊目の、後半部分を翻訳したものです。最近は3分冊だったけど、この本は2分冊みたい。
前巻までに、コナーとグレースは悪いヴァンパイア、シドリオの子供で、ダンピール(ハーフ・ヴァンパイア)だということを知ります。そんな二人が、シドリオとその妻、レディ・ローラの招待を受け、敵の吸血海賊船招待されます。コナーとグレースは食べ物に少しづつ血を混ぜられ、血の飢えを高められて行くのだが……、
といったお話になっています。
前巻とあわせて、この本も面白かったです! そして何より、シリーズ中随一の怖さを誇る巻でもあったし、苛々させられた巻でもありました。それだけ作者がうまいってことなんでしょうが、血の飢えのせいとはいえ、コナーもグレースもなかなかに嫌な子になっていて……。特にグレース、今まであれだけローカンとラブラブになっておいて、今更ジョニーとのあいだで揺れ動くのはないよ! しかも、最終的に出した結論は、どっちも好きって! まあ、そういうのもありなのでしょうが、ローカン好きとしては微妙な気分です。
それにしても、不気味な存在だったオブシディアン・ダーク海尉が実はあの人だったり、あの人とあの人が死んでしまったりと、今回も息を付かせぬ展開で、本当に面白かったです! でも、怖かったしすごく悲しかったです。
そうして、最後の最後でまたもやびっくりな展開! 本当にこれからどうなっていくのでしょう。
シドリオは随分魅力的になってきた(むしろ主役を食っている)のですが、怖いのはレディ・ローラだなあ。
なによりもこの小説は、本当に悪の魅力たっぷりな一冊で、私はステュークリーも好きです。ジョニーもいいですね。そういえば、ジャコピーはどうなってしまうんだろう……。
まだあと一冊、邦訳されてない本があるので、その本の邦訳を待ちたいと思います。本当に、続きが読みたいと思える1冊です。吸血鬼か海賊、どちらかが好きな人にはお勧めのシリーズです。
[1回]
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