(2013年感想43冊目)
縞田理理 著 ねぎしきょうこ イラスト
おすすめ度★★★★★(題名良しキャラ良し雰囲気良しの素敵な一冊。)
「ラムジー。人は強いから弱いの。あの人がちゃんと笑えるようになるまで、お前がしっかり側についていてあげなくちゃ。たとえ自分には何も出来ないと思ってもよ」(p271)クリップフォード村で生まれた七番目の子供には呪いがかかっているというーー。
その呪いを解くために単身ロンドンに家出したラムジー少年は、不良に絡まれていたところを、ジャックという青年に助けられる。そのジャック、仲間と思しき男からは「王子」と呼ばれ、心を閉ざしたままの美しい人、カディルを連れていた……。
というあらすじ。
表題作、「霧の日にはラノンが視える」ほか「晴れた日は魔法日和」を収録した縞田理理先生のデヴュー文庫です。
なによりこのあらすじ、タイトル、表紙絵、そうして妖精物らしいという全てに惹かれて手にとった1冊です。こういうお話本当に好きなんですよね。
読んでみた結果、期待を裏切らないとっても素敵な作品でした。皆妖精界であるラノンからの追放者で、犯罪者であるにもかかわらず、悪い人はほとんど出てこないし、主役のラムジーはいい子だし、読んだあとにはそれこそ霧が晴れたような爽やかな気分になれるお話でした。
何より、キャラクターが本当にいいのです。わたしは特にジャックが好き! 王子にしては平凡なその名前も、ジャック・フロストから取られたと言われればうなずけます。ジャックが、霜の王子様なんですが、その割にはなかなかあたたかい王子様でとってもいいのです。ジャックもレノックスも、いい子なラムジーにいい人と言われても仕方ない世話焼きっぷりが素敵です。しかし自分、本当にこういうお話好きだなあと痛感した1冊。そして、ジャックみたいなキャラに弱いですね……。
ちょっと詰め込みすぎなところもあるけれど、その分作者様の愛が感じられるし、本当に素敵な話だなと思います。
あと、女の子キャラが極端に少ないのも、今後に期待という感じかなあ。唯一の女の子キャラ、アグネスはとっても可愛かったのですが。
続編もあるようなので、追っていきたいと思います。
タイトルに少しでも心惹かれるロー・ファンタジー好きの方は、ぜひ手にとってみて欲しい一冊。
いいお話なのに、知名度はちょっと低いかなと思うので、もっと読まれるといいなあと感じた作品です。
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