(2013年感想36冊目)
白川紺子 著 宵マチ イラスト
おすすめ度★★★★★(面白かった! これからもぜひ応援したい作家さんです。)
「ほいほいダイヤを差し出したりしたらさ、絶対嫌われちゃうよね、僕。僕はこいつらの計画なんてどうだっていいけどさーー」
ジェレミーはにっこり笑った。
「クレアに嫌われたくないんだよね」(p234)読書メーターのお気に入りさんの感想を見て、気になり購入した作品です。
表紙のイラストと、おとぎ話ちっくな題名もいいですね。しかも舞台はヴィクトリア朝ロンドン! これは期待、と読んでいった一冊でした。
結果、その期待は裏切られませんでしたよ! とっても面白かったです。
田舎の女の子が、都会の世慣れした男性の手で綺麗になっていく王道のお話……、あとがきで作者様がそうおっしゃっていましたが、まさしくそう言ったお話です。
メインの男性キャラがたくさん出てくるのに対し、女性はクレア一人だけ、という構図も、女の子もっと出して欲しかったなあと思うのですが、クレアも可愛くて魅力的だし、男性陣も王子様なジェレミー、ツンデレで口の悪い異母兄のセドリック、天使のような外見に黒い野望を抱くバーナード少年公爵、不老不死の魔術師ロビン、騎士なリスオーガストと、バラエティ豊かで満足です。
何より、女の子の夢であるジュエリーやドレスの描写が細かくて綺麗でうっとりとしてしまいます。呪われたジュエリーって、怖いけれどロマンでもあるよね。
文章も、とにかく読みやすい丁寧な文章でした。おかげで最初から最後まで一気読みです。
時代背景、ファンタジックな世界観、登場人物、そのどれもに素直にはまれた、幸せな読書時間でした。
わたしはセドリックも好きだけど、ジェレミー派です。こういう軽薄な感じの人物、大好きです。
まあ、ジェレミーもセドリックもバーナードもロビンも、どこか爪の甘さを感じてしまうのですが。貴族のぼんぼんだから仕方ないのかなあ。
登場人物に、もうちょっと深みがあるといいのですが、そんなところも、ささやかな瑕瑾でしかありませんね。
宵マチさんのイラストも、作品の雰囲気にあっていてとっても魅力的でした。少女小説なのに、男性の挿絵率が多いのがちょっと意外でしたが。
ぜひシリーズ化して欲しいなあと、思わず応援したくなるようなお話です。というか、シリーズ化希望です!
個人的には、作者様のデヴュー作も読んでみたくなりました。(この本は二作目)
またひとり、楽しみな作家さんが現れましたね。嬉しい限りです。
それにしてもこの作品、「伯爵と妖精」に似ているらしく、思わずそちらも読みたくなりました。
ということで、コバルトのヴィクトリア朝ものがお好きな方は、お勧めの作品です。
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