(2013年感想29冊目)
原題 Wicked Lovely
メリッサ・マール 著 相山夏奏 訳 羽住都 表紙絵
おすすめ度★★★★☆(妖精が好きな方にはたまらないかも??)
「あなたがアッシュリンを自分のものにすることができなければ、彼女は命を失う。アッシュリンを説得するの。でなければ、みんな終わりよ」(p325) メリッサ・マールが紡ぎ出す21世紀の妖精譚、Wicked Lovely5部作の第一作目、「妖精の女王」の感想です。
生まれた時から、フェアリーを視ることができる能力を持つ、今時の女子高生アッシュリン(アッシュ)普通の暮らしを送るために、フェアリーなど見えないふりをしてきました。
しかしあるとき、夏の宮廷の妖精の王キーナンが、アッシュリンの高校に転校してきて……? キーナンはアッシュリンを、自分の女王にするというのです。
というあらすじかな。
これは一応、ロマンティック・ファンタジーです。そうして、こういう都市を舞台にしたファンタジーを、アーバン・ファンタジーというらしいですね。
この物語は、古典的な妖精像と、現代の今時の女子高生であるアッシュリンならではの価値観とかそう言ったものが融合して、なかなか魅力的な世界観を紡ぎ出している印象を受けました。なんというか、妖精好きにはたまらない作品だと思います。
アッシュリンのボーイフレンドであるセスの完璧彼氏っぷりがすごいとか、それに対して超美形の妖精王、キーナンは超ヘタレだとか、アッシュリンが一体どっちとくっつくのか楽しみに読めたという点も、ロマンス・ファンタジーとしてはワクワク出来ました。
しかし最後ああなるとは…。アッシュリン、今時の女子高生だなあ。
それにしても、アッシュリン、セス、キーナン、ドニアの紡ぎ出す四角関係が物語の主軸とは! でもこういう関係、嫌いじゃないです。最後はみんななんか幸せそうなので、読んでいて嬉しかったな。
ちなみに私は、完璧彼氏のセスより、欠点だらけのキーナンに魅力を感じます。少数派らしいですけどね。
妖精に対してはなかなか古典的に書かれているので、本格的な妖精ものが読みたい方とかにはとってもいいと思いました。私は妖精が好きなので、このお話すごく楽しめたな。きっと続きも読むでしょう。このお話も、翻訳止まってますが……。
続編はアッシュリンの友人、レスリーのお話らしいですね。
そういえばダークコートの王のイリアルって、この巻では空気だったなあ。続刊のタイトルは「闇の妖精王」だし、イリアルの活躍に期待したいです。
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