(2013年感想25冊目)
原題
Wizard's First Ruleテリー・グッドカインド 著 佐田千織 訳 羽住都 イラスト
おすすめ度★★★★☆(まだまだ物語は序章。これからの展開に期待です。)
「よし」リチャードは快活にいった。「なんといってもぼくは、“真実の探求者”なんだからな」
(中略)
「どうしてそんなことをいったの?」彼女は迫った。(p89)なにか長編ファンタジー小説が読みたくなり、手にとったのが本書です。
「真実の剣」と言うシリーズの、第一巻の一番はじめの部分。五分冊目の1冊目です。装画の人が好きなのも、読書の理由だったかも。そう言う意味では、最近(でもないですが)のハヤカワにしては珍しく挿絵も入っていて嬉しいです。
森の案内人の青年、リチャード・サイファー。
彼は父を殺した犯人を探し求めるうちに、カーランという謎の美女を助け出します。カーランはある人物を探しているのだと言います。カーランの手助けをするうちに、リチャードも、世界の命運を決める冒険へと巻き込まれていきます。
まだ長大なシリ-ズの本当に最初の部分なので、何とも言えませんが面白いです。展開が早くて、飽きさせない魅力がありますね。
本書の特徴は、その登場人物の少なさかな。これだけ長いファンタジー小説なのに、登場人物はリチャード、カーラン、リチャードの兄のマイケル、リチャードの友人のゼッドとチェイスと言う5人ほどしか出てきません。これには驚きましたが、その分、ひとりひとりにスポットが当たっている印象があります。
その中でも私が好きなのはカーランです。最初は謎めいたスーパーウーマンなのかと思ったけれど、意外と弱い部分もあって、こう、魅力的にみえます。
自分の素性を明らかにすればリチャードに嫌われると考えるカーランが、もう、いじらしいというか。リチャードはそんなことでは態度を変えないと思うのですが。このふたりの関係の機微にも注目していきたいです。
これからどうお話が展開していくのかも合わせて、先が読めたり読めなかったりするので、楽しみです。
ただ、翻訳が途中で止まっているのが残念。それでも面白ければ、読むのでしょうけどね。
あと、リチャードの周囲だけ、名前がマイケルとかリチャードとかジョージとかなのは若干違和感があります。
いや、リチャードは本当にいい青年なのですが。
なにはともあれ、これからが楽しみなシリーズです。
王道ファンタジーだけど、普通のファンタジーとはちょっと違うかも。
ファンタジー好きの方は、ぜひ読んでみてくださいね。
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