(2013年感想23冊目)
原題
Blood Red Roadモイラ・ヤング 著 三辺律子 訳 toi8 表紙絵
おすすめ度★★★★☆(独特の文体に慣れたらさくっと読めて面白いです。)
ぜったいに見つける。どこへ連れていかれようと、ぜったいにあたしがルーを見つけるから。(p67)さらわれた双子の兄を助けに行く双子の妹の物語。
この、王道だけどちょっとひねったあらすじに心惹かれて、店頭で衝動買いしたのが本書です。
表紙や、リドリー・スコット監督で映画化が決まっているという帯も、購入のきっかけだったかも。
冬至の日に生まれた双子、ルーとサバ。18歳のとき、ルーが何者かにさらわれてしまいます。サバは、妹のエミとともに、ルーを救けに行くと約束しますが……。
といったような導入部です。
この話、限りなくファンタジーに近いSFとなっています。今の私たちの文明が滅んだ、未来の時代のお話ということになっています。ルイ14世とか、名前ができてきます。でも、主人公のサバが人のいない砂漠で暮らしていたから、世界観の描写などはかなり薄いですが。まあ、読みやすいので、これはこれでいいのかなあと思います。
文体も独特です。具体的には、会話文に鍵カッコがなく、全編ヒロイン視点で語られます。でも、この文体も少し読めば気にならなくなります。
最初の導入部分は、サバがあんなに崇拝している兄のルーの良さとかわからないし、兄と違って、サバは妹のエミを嫌っているので、読んでいて殺伐としていて、おもしろさも疑うのですが、徐々にサバもエミも成長していき、二人の関係に変化が見られるあたりから、一気に面白くなります。個人的には、250ページ一気読みしました。少女たちの成長と交流が素敵な、女性らしいSFですね。
まあ、ヒロインのサバがなんであんなにつよいのかいまいちわからないとか、色々ツッコミどころがあるのですが、これはなかなか面白いSFだと思いました。
下巻はもちろん、続編もあるようなので読んでみたいな。
個人的には、ルーよりジャックが好きです。格好いい。あと、エミはいい子。
とにかく慣れれば引き込まれるお話の展開で、一気に読めます。
後編はルーを探しに行く物語がメインになるのかな? 楽しみに読みたいと思います。
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