(2012年感想118冊目)
石田リンネ 著 起家一子 イラスト
おすすめ度★★★★☆(4・5位。主人公の王女レティのキャラクターが秀逸。)
「デューク・バルヒェット、貴方をわたくしの騎士に任命します。未来のナイツオブラウンドの第一席をありがたく承ってさっさと頭を下げなさい」(p38)最近ちまたで評判の良い少女小説。
私にしては珍しく古書を購入して読書しました。表紙や登場人物紹介の華やかさに惹かれ思わず購入してしまったのですが、これが大当たり。早くも次が読みたくてうずうずしています。
優秀な兄二人の王位継承権争いに業を煮やした父王は、娘の王女レティーツィアを王位継承者に指名した。おこぼれで女王になったと言われながら、自分が王になることを「知っていた」王女レティは、自らの騎士団を作るために、優秀な腕前の騎士、デュークを勧誘するが……、というようなお話。
これは面白かった! 最初はなんでレティが、自分が王になることを知っていたのかと説明する場面がややこしくて世界観に入っていけなかったんだけど、一度得心が行くとぐいぐい引き込まれます。
最初はこの話も、兄弟たちや騎士から愛される、愛され系のお姫様のお話なのかな……、と思いましたが、最初はレティは愛されるどころかすごく冷ややかな兄妹仲で、ちょっとびっくり。
でも、長兄のフリートヘルムも次兄のグイードも、実は妹のレティを愛し可愛がっていて……、という、お決まりなのですが、そんな兄妹愛が随所に見られて、すごくときめきました。
また、主人公レティのキャラクターもいい。超強気で偉そうなんだけど、年相応の少女らしさも併せ持っている……。主人公のヒロインが魅力的なので、むしろ男性キャラが霞んでしまいそうな勢いです。ここまで主人公のヒロインが男前の少女小説もなかなかないんじゃないだろうか……。
しかし、わたしは次兄のグイードが好きなのですが、彼の出番がほとんどなかったのはちょっと残念でした。でも、次の巻はグイード殿下の回らしいので、とても期待です。
滅多に本は買わないのですが、これは購入して追いかけてもいいかな、と思えた作品です。新人らしく、いろいろ至らないところも見られますが(話に入るまでのわかりにくさなど)またひとり楽しみな新人さんが現れてくれて嬉しい限りです。
デュークも男爵家だけど、いずれはレティと色恋して、それこそ大公になったりするような展開もあるのでしょうか……。
まあ、わたしはデュークよりも兄派なので、兄妹愛が美味しいですが。
糖度はかなり低めですが、それを抜きにしても面白い作品となっています。おすすめの一冊。
ほかの騎士たちの登場も気になるし、本当に楽しみなシリーズです。
[2回]
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