(2012年感想119冊目)
原題 Greenrider
クリステン・ブリテン 著 小林みき 訳 24 表紙絵
おすすめ度★★★★☆(後半はあっという間。面白かったです。)
「(中略)私たちは愛のために戦う。したがって、サコリディア国のためならば、もし自分や家臣を犠牲にすることになっても、私は降伏などしません」(p291)「緑の使者の伝説」の下巻。
カリガンはほどなく王都サコアにたどり着き、王に密書を届けることに成功します。役目を終えたカリガンに、ザカリー王はしばらく国に滞在するようにすすめ、そうこうするうちに国王暗殺の陰謀などに巻き込まれ……、といったようなお話。
後半はサクサク読めました。魅力的な脇役や、実はあの人がそうだったのか! といった内容が明らかになり、物語に引き込まれます。上巻は冗長な感じだったけど、下巻は一気に読めて面白かったな。
しかし活躍していたのがほぼ女性というところに、この作者のこだわりのようなものを感じました。女性が活躍するファンタジー小説、好きです。ベリルもマップストーン隊長も、もちろんカリガンも格好良かった!
それに比べてザカリー王は、ちょっと影が薄かったかな?? と思いました。十分魅力的そうな人物ではあるのですけどね。少なくともわたしは好き。オルトンも良かった。続刊では、もっと男性陣に活躍して欲しいものです。
ザカリー王とカリガンは、お互いに惹かれ合っている様子がニヤニヤできる反面、ちょっと急接近すぎるかな? という印象。いくら若いといっても一国の王様が、商人の娘にやすやすと恋をしたらいけない気がします……。
そういったツッコミどころはあるのですが、カリガンとザカリー王の今後の関係が気になるのも事実です。気になる伏線もふんだんに盛り込まれていましたしね。続刊の刊行を望みたいところであります。
というか、続刊出してくれなきゃちょっと消化不良かなあという感じ。これでもまとまったお話となっていますが、カリガンが緑の使者になってコンドルと走るところ、見てみたいです。
上巻は結構むごい部分もあったのですが、下巻はなかなかさわやかな物語となっていて、本当にヤングアダルトのクラシックなファンタジーという感じ。だからこそ読みやすく、愛されているシリーズなのかもしれないですね。
とにかく、続刊をなるべく早いうちに希望したい一冊です。
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