(2012年感想116冊目)
御永真幸 著 風都ノリ イラスト
おすすめ度★★★★☆(4・5位。よかった! 革命期のフランスで紡がれる純愛ものです。)
ひとりの男が、恋におちた(p10)久しぶりの少女小説を読みました。
発売した頃から、なかなかに評判のよかった1冊で、ずっと読みたかった本なのですが、こうやって読むことが出来てよかったです。いろいろツッコミどころはありますが、とても面白い一冊でした。
「無音の愛戀歌 さようなら、わたしの最愛」と、それより30年後の時代を描いた「嵐の狂詩曲」の2篇の中編を収めています。
この本の魅力的で、面白いところは、ヒーロー役の男性が処刑人という地位にあることでしょう。ちなみに、表題作のヒーローと嵐の狂詩曲のヒーローの関係は親子になります。
恋愛要素はどちらかというと純愛で、恋愛よりも時代を生き抜いた人々の群像劇といった雰囲気の一冊となっています。
革命期のフランスのことについてはあんまり詳しくないのですが、処刑人というのは地位が低い職業らしく、高級娼婦であるヒロインとの恋に悩む葛藤が、とても丁寧に描かれていました。主役は、ヒロインじゃなくてヒーローというのも、なかなかに硬派な一冊となっています。
なんといっても、処刑人である主人公、シャルル・アンリ・サンソンが魅力的ですね。この本は彼の物語なのでしょうと思えます。そのシャルルとアンリの親子の交流が、とても丁寧に描かれていて好感でした。
脇役もとっても魅力的に描かれています。ダントン好き。革命期のフランスのお話がもっと読んでみたくなりました。
ただ、ヒロインはちょっと印象に欠けるかなあという感じです。ヒロインだけじゃなく、女性全体に言えるのですが、影が薄いというか……。
そういったツッコミどころは多々ありますが、全体的にとても面白い一冊となっています。
これからも、こう言ったお話を書いて欲しい、期待の新人さんですね。今後が楽しみです。
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