(2012年感想115冊目)
原題
Green riderクリステン・ブリテン 著 小林みき 訳
おすすめ度★★★★☆(少女を主役にした王道ファンタジー。続きが楽しみ。)
「(前略)いい? 自分で決める、それがだいじ。いやいや密書を届けようとしているなら、すでに失敗したと同じこと。わかる?」(p71p)クリステン・ブリテンの処女作、Green riderの邦訳です。書店で見かけた時から表紙に惹かれ、読んでみたいと思いこの度読書しました。向こうでは4作も出ている人気シリーズらしいです。確かに、王道ファンタジーで受けがいいんだろうなと思えた一冊でした。
主人公のカリガンは寄宿舎学校で、貴族の息子と喧嘩し、それがきっかけで停学処分になり、学校を逃げ出します。故郷に帰る最中、王の使者である瀕死の<緑の使者>、フライアンに出会い、彼から、王のもとに密書を届けて欲しいと頼まれることから、カリガンの旅が始まります。
一言で言うなら、剣と魔法と陰謀の王道ファンタジーですね。しかしそこがいいのです。最近、こういうファンタジーも少なくなってるからなあ……。
カリガンの旅は、最初は順風満帆で、魔法にとても恵まれているなあという印象。しかし途中でだいぶひどい目にも合うので、なかなか可愛そうです。
でも、いろいろな魔法や協力者が協力してくれて冒険するので、とてもワクワクします。魔法が絡む描写はなかなか美しい。ハヤカワでなくても、児童書レーベルでも出せそうなお話だなあと読みながら思いました。
個人的に、森を舞台にしたファンタジーは大好きなので、そう言う意味でもこのファンタジーは嬉しいですね。きっと作者は、自然保護なんかにも興味があるんだろうなあと思いました。
この前半の巻では、カリガンはまだ王にも目通りしていません。だから、ザガリー王がどのような人物なのか、今のところわからないのがちょっと残念。悪いことを企んでる兄のアミルトン公なんかの方が、よっぽど個性的なキャラに見えてきかねないなあという印象。
それと、トマスティンじゃないですが、ベリルは可愛いなあと思いました。カリガンも、まっすぐで強い女の子だし、やっぱり強い女の子が活躍するお話は好きです。カリガンの旅はまだまだ波乱が続きそう。続きを楽しみにしたいと思います。
それにしても、喋ってもいないホースがいい味出してました。ベリー姉妹もいいですね。そんな脇役の個性が光る一冊となっています。
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