(2012年感想111冊目)
末吉暁子 著 東逸子 絵
おすすめ度★★★☆☆(本好きの子にはたまらないお話だと思います。)
「図書室は、とてもふしぎな空間よ。ただ、本が並んでいるだけじゃない。一冊一冊の本には、作者の思いのたけがこめられているし、本を開けば、まったくちがう世界に入りこめるしね。」(p118)11月は読書月間ということで、地元の図書館で、本の本という特集をしていました。この本は、そんな中に並べられていた一冊です。挿絵の東さんが好きだったこともあり、少々子供向けかなとは思ったのですが、思い切って読書です。
転校生のアミちゃんは学校の図書館で、羽の生えた不思議な本の妖精、リブロンと出会い、リブロンからあるお願いをされるのですが……。
といったようなお話。
アミちゃんは小学4年生ですが、同じ年頃の本好きの女の子にはぜひ読んで欲しいと思った1冊です。東さんの挿絵が幻想的で、リブロンの本の妖精の羽根(本のページを模したもの)などが繊細に描かれています。
リブロンのちょっと自分勝手な性格には愛着を覚えるまで時間がかかったけれど、やっぱり本の妖精。そんな素敵な妖精に悪い妖精はいない(と思う)ので、最後はリブロンのことも好きになれます。この本自体、リブロンの擬態した姿というのも面白いですね。そんな、細部にこだわりの詰まったところも、とても素敵です。
リブロンが渡す、本を読んだら虫食いがうまる枯葉のスタンプ帳、わたしもそんなものが欲しいなと思ってしまいますし、リブロンからのご褒美は、たしかに戸惑ってしまうけれど、本当に素敵です。わたしもアンデルセンの「火打ち箱」の話、読んでみたくなりました。
女の子同士の友情もあり、蛇足なような気もしますが上級生に対するほんわかとした恋もありで、なかなか楽しめた一冊でした。
そうして最後、学校の先生が話してくれる読書体験が、なかなかにこの本に深みを与えてくれています。そんなところも好きだな。
子供向けの本と思って読むのをためらっているのは、ちょっともったいない1冊です。
何より本当に、挿絵が素敵。素敵な本の本でした。
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