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紅茶好きの管理人が読んだ読書の記録のためのブログ。ネタバレありですのでご注意ください。
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読書と音楽とゲームとおいしいものと人形をこよなく愛する多趣味な人間です。
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(2012年感想110冊目)

原題 Silver on the Tree
スーザン・クーパー 著  浅羽莢子 訳
おすすめ度★★★★★(完結編。なんとも余韻の残るラスト。大好きなシリーズです。)


<闇>の寄せ手の攻め来る時
六たりの者 これを押し返す
輪より三たり、道より三たり
木、青銅、鉄、水、火、石、
五たりは戻る 進むはひとり



「闇の戦い」シリーズの完結編。今までの本の二倍くらいの厚さがありますが面白くて一気に読めます。
夏至前夜、ウィルの、<古老>としての最後の戦いが始まります。
その旅に協力するのは、ドルー兄妹やブラァン、メリマンといったものたち。果たして、<光>と<闇>の戦いは、どちらの勝利で終わるのか??

といったようなお話です。

いやー、この話は、シリーズ全部読んでこそなのだなあと思いました。途中で投げ出さずに、読めて良かったと心から思います。
このシリーズを読むときいつも言っていることのような気がしますが、このシリーズは日常の中に溶け合った<光>と<闇>、ファンタジーの書き方が本当に秀逸だと思います。こう言ったファンタジーを完結させた、あるいは完結まで読んだということは、作者にも読者にも大きな財産になると思いました。ファンタジーとして、一度は手にとって見て欲しい作品です。
描写というと、特に失せし国での描写が、とってもファンタジックで秀逸。ラストと並び、この本の白眉といっていいかもしれません。

また、ドルー兄妹やブラァンそれぞれにも魅力や見せ場があって素敵です。
しかし、何よりこれは、<古老>であるウィルの物語なのだなあと思います。ほかの人々が闇と光の戦いに関わることを忘れていく中で、ウィルだけは<古老>としてその記憶を一人、孤独に覚え続けなければならない。まだほんの少年であるウィルが・・・。
その孤独を思うとき、胸が痛くなります。
この作品、賛否両論のようですが、わたしも大好きではありますが、確かに光の酷薄さというものには共感できない部分が何度もありました。誰もが光(あるいは神?)のように、正しいことを信じて生きていけるわけではない・・・。だから闇(悪魔?)の誘惑に負けてしまうのだろうなあと、そういう可能性は誰にでもあるんだろうなあと、作者の思想を垣間見、そんなことを思った1冊でした。

しかしわたしは、この本が好きです。圧倒的な筆力に引き込まれ、様々な悲しみを内包しつつ、色々なことを考えさせてくれます。ファンタジーとは、本来そういったもの。ファンタジーを通して、現実の生き方や価値観を真っ向から問いかけるものだと思います。
その意味でこの作品は、間違いなくファンタジーであると思いますし、史上に名を残す作品であると思いました。
また、ラストがちょっと切なくて印象的。最後の詩、五たりは戻る 進むはひとりという詩のひとりとはウィルかメリマンのことでしょうが、あるいは6人全員が、一人で歩まなければならないもの、その重みを、背負ってしまったのかもしれません。

とにかく、傑作。ぜひ一度読んでみてください。

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