(2012年感想109冊目)
柏葉幸子 著 山本容子 挿絵
おすすめ度★★★★★(面白かった! ぜひ大人にも読んで欲しい児童書です。)
「本をさがすんですよね。」
「いやいや。本をさがしてもらいたいのではない。青田早苗ちゃんのつづきが知りたいんじゃ。」(p16)読書メーターで面白そうな本を見かけたので、早速読書してみました。
アラフォーの山神桃さんは、四方山市の図書館に再就職した、ちょっとくたびれた女性です。そんな司書の桃さんに、絵本の中の登場人物たちが、読者の続きを知りたいから探してくれないか・・・。と訪ねてきて・・・?
というお話。
これは面白かったです! 読めて良かった!
本を読み終わると、その本の続きが知りたくなることってありますよね。それと同じように、本の中の登場人物たちも、わたしたち読者のその後が知りたいんじゃないか・・・。そんな発想から描かれている一冊です。
今までそんなこと考えたことなかったけれど、これはとても素敵なことだと思いました。大好きな本の登場人物たちが、自分のことを気にかけてくれているのならば、それほど素敵なことってないと思います。
そうしてまた、本を大切にしなきゃなあと思った1冊でもありました。一生そばに置いておける本は少ないけれど、一生そばに置いておけるような本が人生で見つかったらいいな・・・、などと思ってしまいます。そんな本って、本当に少ないでしょうしね。
この本のお話としては、児童書なのにアラフォーの司書さんが主役というのもほかの本と一線を画していて、そんなところも、子供だけでなく大人に読んで欲しい一冊です。話の内容も、大人の事情というかが大いに関わっていて、そんなところも、大人のための児童書といった感じでした。
最後の伏線回収も心温まるものがあり、本当に読んでよかったと思える一冊になりました。
登場人物たちもみんな愛おしい登場人物ばかりで、読んでいてそれこそ、桃さんの続きが読みたい! という気持ちになってしまいました。まあ、この1冊で綺麗に完結しているので続きは出ないのでしょうが、そんなふうに思わせてしまう作者様は本当にうまいですね。
とても素敵な本でした。おすすめ。
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