(2012年感想101冊目)
ジョン・ミンヒ著 酒井君二 訳 中川悠京 表紙絵
おすすめ度★★★★★(大好きな本。何度読んでも面白い。)
「おまえはこの世のすべてを生きてきたわけじゃないんだぞ。バカなやつめ。何をそんなに耐え続けているんだ。この世ではみんなつらいめにあっているんだ。それでも生きようという欲望を、少しでも立派に生きていこうという欲望を隠すこともせずに生きているんだ。人間はいつか死ぬために生きているんじゃない。生きている明日のために生きるんだ」(p294)韓国のファンタジー小説、「ルーンの子供たち」シリーズです。
日本でも展開しているオンラインゲーム、TalesWeaverの原作小説でもあります。しかし、この本自体が非常に良質なファンタジーなので、オンラインゲームを知らなくても十分楽しめると思います。
そして、再読本でもあります。何度読んでも面白さが色あせないだけでなく、読めば読むほど面白くなる、そんな本だと思います。
話のあらすじとしては、魔剣を持った少年の成長物語なので王道中も王道なのですが、厳しいストーリー展開、世界観の奥深さや、魅力的なキャラクターなど、非常に質の高い物語です。ただ、誤字がちょっと多いのが残念かなあ。
個人的には、イェーフネンが虫を食べるシーンが忘れられないです。主人公ボリスの心の葛藤も深く、ぐいぐい引き込まれてしまいます。
しかし、オンラインゲームをやっている身としては、ゲームのキャラクターたちが活躍してくれるのが嬉しいですね。
しかし、この物語の魅力の一端は、ゲームには登場しないウォルナット(後のイシルダー)の存在でしょう。ほかにもロズニスやイェーフネンなど、脇役も本当に魅力的です。
韓国のファンタジーなら、私はドラゴンラージャよりルーンの子供たちですね。それくらい自信をもって、大好きと言える作品です。
重い雰囲気が続くお話ですが、暗くなりすぎないのは登場人物の魅力と、軽快な会話のおかげでしょう。思わずくすっと笑ってしまうようなやり取りもあって好きです。
この巻自体は、まだまだ序章といった感じなので、これからのボリスの世界の広がり方が、非常に楽しみです。
本当、ちょっと分厚いですが自信をもってオススメできるファンタジーです。ぜひ読んでみてください。
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