(2012年感想94冊目)
原題 A Caress of Twilight
ローレル・K・ハミルトン 著 阿尾正子 訳
おすすめ度★★★☆☆(3・5くらい。面白かったけどちょっとあっさり? 後編に期待です。)
数年の異郷生活のあと、わたしはやっとのことで少しだけ故郷を取り戻した。故郷は昔とほとんど変わらない。美しく、エロティックで、そしてきわめて危険だ。(p27)パラノーマル・ロマンス、「メリー・ジェントリー」シリーズの第二作目の前編。
100年前にシーリー・コートを追放されたハリウッド女優、メーヴ・リードがメリーに接触を図ってきた。そしてアンシーリー・コートからは、とんでもない敵が逃げ出してしまったようで……!?
というようなお話です。
いやー、やっぱりこのシリーズは面白いです。読みだしたら止まらない変な中毒性のようなものがある。
女王の闇と呼ばれ、メリーの右腕的存在であるドール、メリーを心から愛しているフロスト、メリーをいつでも楽しませるリース、純粋なゲイレンに気弱なニッカ。それにゴブリンのキットー。
綺羅星の如きヒーロー候補に囲まれて暮らすメリーの暮らしも、なかなか大変な様子が忍ばれます。
それにしても、メリーとフロストのあいだに一体何があったんだろう。これはふたりの関係が変わりすぎていてびっくりしました。
リースは相変わらずで、そもそもこのお話はリースにかなりのページがさかれているので、リース好きには嬉しいです。あと、ゲイレンの裸エプロンはなんというか衝撃でした。
と、いろいろな見所や笑いどころはあったり、感動さえできるところもあるのですが、物語の本筋や敵が見えてくるのはこの本の最後の方なので、なんとも勢いというか展開の面白みに欠ける印象があります。
とはいえ、相変わらず美形なんだか不気味なんだかわからないヒーローたちとメリーの関係は楽しく読み応えがあり、ベッドシーンが一巻に比べると格段に減ってその代わり近衛兵ひとりひとりとメリーの心理的な結びつきにスポットが当てられ、一巻とはまた違った読み応えがありました。
下巻を読むのが楽しみな1冊です。いつか作者の別シリーズも読んでみたいなあ。
[2回]
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