(2012年感想93冊目)
原題 The New Policeman
ケイト・トンプソン 著 渡辺庸子 訳
おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。不思議とのんびりした気分になれる作品。)
「いくらでもなかったよ」と、JJは言った。「だって、お金じゃないんだから。びっくりするかもしれないけれど、最近は『ダウドの九番』で買い物ができるのさ」(p205)アイルランド音楽ファンタジーの下巻。
JJ・リディは母親の誕生日に時間を買うためにティル・ナ・ノグに赴いた。しかし時間の流れが違うために、現実世界ではJJは行方不明になっていることになって……? 一向に忙しくなるばかりの現代とティル・ナ・ノグは、一体どうなってしまうのか!?
というようなお話です。
いやー、この本は面白かったです。何より全編を彩るアイリッシュメロディーと、ティル・ナ・ノグの描写がいいです。ティル・ナ・ノグがすごくほのぼのしてて、現代社会に対するメッセージのようにも思えました。下巻は、読み始めたら一気読みでした。
JJとアンガスの交流が良かったです。音楽を一緒に演奏したり、いろいろお話したり……。アンガスは実は……!? っていうのもファンタジーらしくていいですね。
ほのぼのしてるだけあってほのぼのとしたラストですが、最後はちょっとドキドキできる部分があるのも良かったです。
続編(?)もあるのかな? ティル・ナ・ノグから帰ってこなかったアン・コーフのことなど、いくつかの謎があるので、続編もあわせて読んでみたいと思います。
とにかく、いろいろと考えさせてくれる、素晴らしいファンタジーだと思います。現代だからこそ生まれた、まさしく現代ファンタジーの珠玉の一冊だと思います。
最近妖精物のファンタジーを多く読んでいますが、妖精を信じる心というものは失いたくないなあと、そんなことを考えさせられました。お勧めです。
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