(2012年感想91冊目)
原題 The Iron King
ジュリー・カガワ 著 宮崎真紀 訳 彩 表紙絵
おすすめ度★★★★☆(面白かったです。次の巻も気になる。)
「持ち物はそれで全部?」
アッシュが尋ね、わたしはうなずいた。
「うん。必要なものは全部あるから。さあ、行こう」(p291)ジュリー・カガワさんのデビュー作、「Iron Fey」シリーズの第一作目の邦訳の下巻。
ミーガンは弟のイーサンを助けるために、親友のロビー・グッドフェロー(パック)猫妖精のグリマルキン、冬の国の美王子アッシュとともに旅立つが、とんでもない敵がネバーネバーを襲おうとしているのを知ってしまい!?
というようなお話。
下巻からは展開が一気に進み、ぐいぐいと読ませられました。
科学技術から生まれた鉄の妖精たちという発想が面白いなと思います。現代社会へのメッセージ的なニュアンスもあるのでしょう。「必要なものは全てもってるから」とミーガンはいいます。現代社会でも、本当に必要なものは多くないのかもしれないですね。
それにしてもミーガンは、何でもかんでもすぐ取引しすぎで、読んでいるこっちがヒヤヒヤしてしまいました。これらの取引のほとんどは次巻以降への伏線となっているようなので、きっと次巻も読んでしまうんだろうなあ。それにしてもアッシュはアンシーリー(悪い、祝福されていない妖精)の国の王子なのに、いいやつすぎます。わたしは、作者の贔屓を感じても断然アッシュ派です。アッシュとパックの過去をもっと読みたいです。
しかし、アッシュとパック、二人のイイ男から「姫」と呼ばれるミーガン。上巻は薄味だったロマンス要素も、下巻はそれなりで嬉しかったです。向こうでは、ロマンス・ファンタジーなんていう日本にはあまり馴染みのないジャンルもYAに多いんですよねえ。
しかし下巻はパックがほとんどいいところなしだったので、巻き返しを測れるのかだろうか。そもそも公式HPによると、次の巻は、敵が味方に、味方が敵になるとか。パックとアッシュはどっちにつくのか!? 今後の展開が気になりますね。
全体的に、色々な作品のいいところどりって感じの作品です。でも、面白いと思います。ロマンスレーベルだからと思って読まないのはもったいない作品だと思います。というか出す出版社間違えてないかしら……、とちょっと不安に。
なにはともあれ、次の巻も楽しみな1冊です。
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