(2012年感想87冊目)
原題 Poison
クリス・ウッディング 著 渡辺庸子 訳 橋賢亀 挿画
おすすめ度★★★★☆(面白かった! 主人公のポイズンが魅力的。)
「そんなもの、なりたくもない」とポイズンは答えた。「みんなお姫様に憧れるけどね。でも、そんなのは退屈だよ」
「ほう! だったら、お前の望みはなんだ?」
「あたしの望みは、妖精王の宮殿に行くこと。そうすれば、妹を返してくれって、頼めるから」(p231)ずっと前から気になっていた、ウッディングの「ポイズン」の上巻。やっと読むことが出来ました。挿画の人は好きだし、あらすじの好みもストライク。そうして、期待にたがわず、楽しく読むことができた一冊です。
ポイズンは、自分でその名をつけた、ガル村に暮らすちょっとひねくれた女の子。
ある日、妹のアザレアを妖精に連れ去られてしまい? ポイズンは妹を取り返すため、妖精王に会いにいくのだった!
というようなお話です。
表紙のポイズンは可愛らしいのですが、自分のことをポイズンって名づけちゃうくらいだから、主人公のポイズンはかなりのひねくれもので、感情移入することは難しいんじゃないかなと最初の方を読んだときは思いましたが、全然そんなことはなかった! むしろポイズンの素直じゃない部分が可愛らしく見えるくらいでした。
それ以上に、ポイズンの機転が聞く頭と、勇敢さにすっかり魅了されてしまいました。<
ひねくれてるのに、物語やお話が大好きというのが、ある意味ではポイズンの純粋さの裏返しかなあと思いまます。
旅の道連れとなる精霊獲りのプラムや、ペパーコーンもいいですね。
人間の感情の機微というものが、よく出ている3人の関係だと思います。特にプラムはいいやつすぎる。
上巻まるごと、妖精界にたどり着くまでのお話みたいな感じだったので、下巻ではどのようにして3人が帰ってくるのか見ものです。
また、本の挿画や装幀が素敵。綺麗だし、とっても読みやすい一冊になっています妖精たちがどんな描かれ方をするのかも含めて、下巻に期待です。面白かった!
[1回]
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