(2012年感想83冊目)
荻原規子 著 酒井駒子 表紙絵
おすすめ度★★★★☆(まだまだ序章? 思ったより楽しめて嬉しい誤算でした。)
舞踏などにはまったくなじみのない深行だったが、それでもたぐいまれなものを目にしていることはよくわかった。うなじの毛が逆立つ思いは、和宮ばかりのせいではなかった。
(……どこが、何もできない女の子だよ……)(p300)勾玉三部作や西の善き魔女などで知られる荻原規子さんの別作品。酒井駒子さんの描く表紙絵が素敵です。この作品、ちょうどアニメ化が決定したらしく、そう言う意味でも楽しく読めました。
レッド・データ・ガールってなんだろう? と思ったのですが、それはつまり、「絶滅危惧種の少女」のことでした。
なるほど主人公の女の子、鈴原泉水子(すずはらいずみこ)は、あらゆる意味で今の時代、絶滅危惧種の女の子。引っ込み思案で、今時ちょっと見かけないくらい長いおさげ頭をしている……。
しかしそんなことよりももっとずっとはるかに、泉水子には重大な秘密があって……?
父の友人の相楽雪政(さがらゆきまさ)が、自分の息子の深行(みゆき)を、下僕として紹介した頃から、泉水子の周りにはおかしなことが起こり始める……。
といったようなお話です。
正直、序盤は泉水子の引っ込み思案な性格に、結構読んでいていらいらさせられたのですが、雪政や深行が出てきたあたりから面白くなってきて、一気に読んでしまいました。なのでぜひ、第二章までは読んで欲しいです。
物語自体は、この一巻まるごと大きなプロローグと言った感じです。
泉水子の性格も少しずつ改善されていって、今後の成長が楽しみだったり、意外と正統派のボーイミーツガールだったりもしたので、二人の距離感がこれからどうなるかも注目していきたいです。
私のお気に入りは雪政と深行の親子ですね。泉水子もいいのですが、どうしてもちょっと煮え切らなくて、脇を固める二人のほうに魅力を感じちゃいます。
和宮くんはこれからも出てくるのでしょうか。
そのあたりも合わせて、ぜひ二巻まで読んでみたいと思いました。面白いです。日本の山の清浄な雰囲気が好きな方には特におすすめ。
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