(2012年感想81冊目)
村山早紀 著 朝倉めぐみ 絵
おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。不思議で、心温まる物語たちが収められています。)
「七つの海のかなたから、今日もいろいろもってきましたよ、マスター」
自動ピアノはちょうど、『シェエラザード』を奏でていました。(p31)風早市を舞台にしたちょっと不思議な短編集。作者の書くお話はこの風早市を舞台にしたものが多いらしいのですが、今回が初めて読みました。
曽祖父の代から続く、カフェかもめ亭の女マスターである広海のところには、いろいろなお客さんがやってきて、信じられないようなちょっと不思議な話をしてくれるのです……、
収録作は、「砂漠の花」「万華鏡の庭」「銀の鏡」「水仙姫」「グリーン先生の魔法」「ねこしまさんのお話」「かもめ亭奇談」の七篇。
文庫本ヴァージョンだともう一篇追加収録されているようです。
どの話も、村山さんらしい素敵な、ちょっと不思議なお話で、魔法で満ち満ちています。胸があったかくなるような、ちょっと涙が出ちゃうような、そんなお話たちです。
私の好きなお話は、「万華鏡の庭」と「ねこしまさんのお話」かな。「水仙姫」もよかった。
どの話も甲乙つけがたいくらい素敵でした。
ただ、「銀の鏡」と「ねこしまさんのお話」は、似たようなお話だなあと思ったら、どうやらこれは作者様の人生が特に反映されたお話であるようです。
この2篇以外にも、語り手となる人たちは、ちょっと立場の弱かったり、ハンデを抱えてたりする人が多く、そう言った人たちに向けて書かれた、癒しの物語なんだろうなあと思いながら読んでいました。
それにしても、カフェかもめ亭はとっても素敵なお店ですね。こんなカフェがあったら、通いつめたいです。
風早市を舞台にした作品はほかにもまだまだあるようなので、いつかまた読んでみたいなあと思いました。
村山さんの作品の中では、ちょっと大人向けの作品かと思いますが、とってもおすすめの一冊です。癒されたい時などにぜひ。
[0回]
PR