(2012年感想80冊目)
村山早紀 著 絵
おすすめ度★★★★★(この世界観が本当に素晴らしい。)
「あなたの歌は魔法の歌。どれほど広い空を蛾の群れが埋めつくしていようとも、この空じゅうに、きっと響きわたるわ」(p365)この本で村山早紀さんを知りました。
とにかく素敵な1冊。面白かったです!
クラスにとけ込めない女の子が、実は異世界の国の王女様で……、という、今でこそ王道の物語ですが、とにかく世界観が素晴らしいです。善神と邪神の対立。水晶の歌姫。魔術師。異世界の空気と空の色……。それらの人々や描写が鮮やかに心に浮かんでいきます。
私が好きなのは異世界で主人公の少女ナルを導いた歌姫、サーヤ・クリスタライア。いい人なんだけど、いい人で終わらない心の弱さや暗さがあって、とても好感が持てました。
異世界の魔術師なのに、現代社会のテレビゲームが好きなハヤミさんも素敵ですね。ユリアやサフィアも好き。
ただ、テレビゲームが比喩によく使われるのは、時代を感じます。
でも、今読んでも時代を超えて面白い一冊だと思います。読んでみるとほとんどの登場人物が女性なので、女の子向きのお話かも。物語が好きな全ての女の子は、きっと楽しめるお話だと思いました。
作者様本人が描いているという挿絵もまたとても雰囲気があって、素敵です。この挿絵に惹かれて読んだといってもいいくらいですね。
とにかく、美しい音楽が聞こえてくる青い空の下を一緒になって旅してるような気分になる作品です。
続編というか、数年後を描いたお話があるようなので、そちらも近く、読みたいと思います。
作者様の代表作かと思います。本当におすすめ。
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