(2012年感想66冊目)
藤原祐 著 kaya8 イラスト
おすすめ度★★★★☆(物語が動き始めた1冊)
奴らに打ち勝って、自分の存在価値を自らに示したい。
アルトを安心させたい。
二度と、さっきのような思いはさせたくない。(p283)
藤原祐さんの煉獄姫3冊目。
悳国(とくこく)の王子が来榮することとなり、フォグとアルトは護衛の任に当たるが、裏では国家転覆の陰謀が渦巻いていて……!? というお話。
今回も安定して面白かったです。藤原さんのこの話は、内容、文章ともに安定していて、読んでいて安心します。しかし、今回は安定した代わりに、あまりダークな印象は受けなかったのが残念というか、物足りないというか……。でしたが。
今回も魅力的なキャラクターがたくさん登場して、ドキドキの1冊でした。
藤原さんの著作は、脇役までしっかり練りこんでありそうなのに、その脇役をあっけなく殺すところが、いさぎよくてとても好きなのです。
私の好きなユヴィオールは、やっぱり黒幕というかラスボスのオーラが堂々と漂っていて、でも彼の手腕も見事なものだったから、これからさらにフォグたちを追い詰めてくれるのかなー、と楽しみです。
ユヴィオールが腐心して集めた人材も素敵。特にティ・キが気になります。あとアイリスもいいですねー。キャリエルのほうが好きです。みなさん、静かに狂気が漂っています。
人造人間のフォグとかレキュリィがある意味一番まともで常識的で、人間たちのほうがくるっているというその対比がとても好きですね。鮮やかです。
その分フォグやアルトは常識的過ぎて、物足りないのですが、出てくると安心します。今回株を上げたのはキアスかなあ。少年の純粋な恋心なりに頑張ってるところを応援したくなります。
明らかになったアルトの反則的な能力も、今後どう物語にいかされてくるか期待です。
ただ、この物語はどのあたりに終着点を見出すんだろう? というのが気になるところだったり。終着点が見えてこないんですよねえ……。
しかし、登場人物がどの方も魅力的なのは事実。主人公側も敵対する側も、どちらも楽しみに見守っていきたいと思います。久しぶりに楽しんで読んでいるラノベです。
おすすめ。
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