(2012年感想64冊目)
原題
The Healer’s Keep
ヴィクトリア・ハンリー 著 金原瑞人 石田文子 訳 横田美晴 絵
おすすめ度★★★★☆(やっぱりこのお話は好きなお話です)
「あたしたちがなにをみて、どこへいってきたかという事実は変えられないもの。それはあなただって同じよ。なにもかも、もう変わってしまったのよ」(p290)
ヒーラーズ・キープ下巻。
上巻を読んでからだいぶ間があいてしまいましたが、ようやく読了しました。
はたしてドージャンとミーヴの姉弟は出会うことができるのか? ミーヴは追っ手から逃れることができるのか!? ヒーラーズ・キープの運命は? など、気になることが目白押しの一冊となっています。
読んだ感想としては、この話は個人的には大好きです!
ヒーラーズ・キープ(癒しの砦)という題名の通り、この物語を流れる根底にあるものは癒しであり、その癒しを行うための愛であり、戦いであります。この話を読んでいると、何となく心が癒されていくような、そんな温かさがあります。
ミーヴ、サラ、ドージャン、ジャスパー、という四人の男女が共に旅をし、お互いのために頑張る姿は素直にドキドキするし、とても面白いです。特にジャスパーがとっても格好良かった。ほかの3人のように特殊な力を持たなくても、彼の存在のために何度一行が助かったことか。ジャスパーの最大の武器は、ミーヴに対する愛ですよね。この二人は最後本当に幸せそうでよかったです。
悪役も魅力を放っていてよかった。モーレン侯やバーンなど、悪役なのに冷たく妖しい魅力があり、思わず惹きつけられてしまいました。それに、ヒーラーズ・キープには様々な癒し手がいますが、主人公たちの癒しの力が戦う癒しであったり、夢の癒しであったりするのがなんとも面白く、またなんとも幻想的な雰囲気があるところにもよかったです。
なによりも、過酷なのにどこかきらきらとしていて、美しい物語で、そういうところがお気に入りです。この作者の話はやっぱり好きだなあ。「水晶玉と伝説の剣」も読んでみたいな。
オーソドックスな光と闇の物語でありながら、どこかそれだけではない、とても素敵な物語となっています。私は大好き。おすすめです。
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