(2012年感想61冊目)
原題 The Miraculous Journey of Edward Tulane
ケイト・ディカミロ 著 バグラム・イバトーリーン 絵 子安亜弥
おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。最後はちょっとうるっときます)
ぼくは愛することを学んだ。でも愛なんてつらいだけだった。ぼくはこわれちゃった。心がこわれちゃったんだ。助けてよ。(p149)
中の紹介文と表紙が気になって図書館から借りてきた本。
陶器でできたウサギの人形、エドワード・テュレインは、女の子に愛されながら日々を過ごしていたが、自身はとんだ自惚れ屋で傲慢であったため、だれも愛することがなかった。そんなエドワードが、ひょんな事故から最初の持ち主だった女の子、アビリーンの手を離れ、さまざまな人の手に渡り、愛を学んでいく……。というようなお話。
とっても素敵な本でした。まず、イバトーリーンのイラストが素敵です。モノクロの絵も、カラーの絵も本当に素敵。イラストが多く、本文も少なめなので、低学年くらいのお子さんからぜひ手に取ってほしい一冊です。
私のお気に入りのシーンは、登場人物がそれぞれ、エドワードに違う名前を付けて呼びかけるシーンですね。ああ、人形ってそうだよなあ、と深く共感してしまいました。最初はそのことに反発していたエドワードも、そういって呼びかけられて行くことに慣れていき、人々の話に耳を傾けるのがいいですね。
この本はエドワードの成長がはっきりと伝わってくるのが最大の魅力となっていると思います。さまざまなところを、長い時間をかけて旅するエドワードと一緒に、私たちも成長して一緒に旅するような、そんな風情のある本です。作者の暖かな視線が、とても心地よい物語です。
そうして最後には、(いや、最後だけに限らず)思わず目がうるっとしてしまうような、そんな感慨深さというか、感動がありました。とっても素敵な絵本です。おすすめ。この作者の違う話も読んでみようかな。
おすすめ。
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