(2012年感想59冊目)
キャサリン・ラングリッシュ 著 金原瑞人 杉田七重 訳
おすすめ度★★★☆☆(3・5くらい。一気に読ませてくれる作品でした。)
「だけど、それじゃあ、あたしたちじゃなくなっちゃうわ!」
ヒルデがぎょっとしていった。すっかりとりみだして目をきょろきょろさせている。
「人間として考えられなくなるんなら、あたしたちは人間じゃなくなっちゃう。心はトロールになってしまうのよ!」(p192)
ラングリッシュのトロール・フェル下巻。更新は間が空いてしまいましたが、実質には上下巻合わせて一日で読んでしまった作品です。
正直、北欧を舞台にしているという点以外あまり好みの作品ではないのですが、それでも一気に読ませられる面白さと読みやすさと勢いがありました。ラングリッシュがうまいのでしょうね。
下巻はいよいよトロールの地底王国で結婚式が行われます。はたしてペールとヒルデの運命やいかに……!?
上巻から、世界名作劇場みたいだなあと思っていたのですが、下巻もまさにそんな感じです。といっても、上巻がペールが不幸でかわいそうだったのに対し、下巻はペールも幸せになりめでたしめでたしで終わるのもよかった。本当に最後はハッピーエンドで、そこがまたいい。上巻であきらめかけた人も、最後まで読んでほしいなと思いました。
こういった話にしては珍しく、恋愛要素も控えめなのが意外でした。ペールとヒルデはあくまで友人だし、最後も一緒に暮らすことになっても、それはあくまで家族としてである……。
でも、これからの発展を十分に感じさせられて、そういうところはいいですね。
この作品、トロール・ミルという続編もあるっぽいいので、ちょっと気になります。機会があったら読んでみようかな。その時は、二人の関係性の変化に期待したいと思います。ヒルデが強くて、とても素敵なんですよね。ペールも頑張ってたけど、ヒルデのほうがより一層頑張ってたと思います。
なにか今までとちょっと変わった児童書が読みたくなった時にお勧めの一冊です。
にほんブログ村[0回]
PR