菅野雪虫 著
お勧め度★★★★☆(面白かった。安心して読める面白さです)
「まあ、ソニンがいいならいいけどさ。ほんとに欲がないんだから。なんか、自分から苦労する道を選んでるような気がするよ」
「大丈夫。苦労する道を選んだとしても、不幸になる道は選んでないから」(p254)
菅野雪虫さんの「天山の巫女ソニンシリーズの2巻。
沙維(サイ)の国の末の王子イウォルは、江南(カンナム)の第二王子クワンに誘われて、江南に留学することになります。しかし、江南は沙維の国以上に陰謀が渦巻く国だった! またもや陰謀に巻き込まれるソニンの運命は……!?
というようなお話。
いやー、この話は面白かったです! ちょっと、展開に動きがあるまで結構かかるのが難点だったのですが、半分よりちょっと前くらいから急に物語が動き出し、一気読み間違いなし!1巻でクワン王子が気になっていたわたしとしては、今回はクワンがメインのお話だったので大満足でした。それにしても今回の「海の孔雀」というタイトルは、クワン王子のことだったのね。
ソニンはあんまり嫌みのない主人公なので、読んでいて本当に安心して読めます。ほんとう、小学校の教科書に載せたい物語です。
でも、子供向きだと思って読んでいると、結構鋭いことが書いてあって、ドキッとしてしまいます。そこがこの本の魅力かな。(というか作者さんの魅力でしょうか)
1巻で登場していた、ミンやイルギと言った人々も、引き続き登場していてよかったです。
イルギはソニンの義理のお兄さんになっていてびっくりした。そうしてミン、こういう子好きです。ソニンはこういう現実的でしっかりした子が友だちなのが本当に恵まれているな、と思いました。
しかし、前の巻に出てきた人が安定して出てくると、シリーズものって感じがするし、やっぱり嬉しいものですね。
逆に、今回ちょっと悲しく感じたのが、江南の王妃様でしょうか。まあ、こういう育て方をされてしまったことによる性格の悲劇なのでしょうが……。前の巻に出てきたレンヒと同じく、一歩間違えればソニンもこういう風に育っていたという、鏡のような存在なのかも知れません。
今回は、イウォル王子の活躍が少なかったのが残念といえば残念。でも、またまた気になる登場人物(リアンやセオ)が出てきたので楽しみです。
沙維、江南ときて、次の舞台は巨山(コザン)になるのでしょうか。そのあたりも楽しみです。
なかなかお勧めのシリーズです。
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