光原百合 著 鯰江光二 絵
お勧め度★★★★☆(4・5くらい。とにかく優しくて少し切ない物語たちです)
僕も彼女も祈っている。
どうかこの世のすべての寄る辺ない魂が、遥か彼方、星の生まれるところへの道を見いだせますように。(158p)
光原百合さんの、童話のような短編集。大人のための絵本って感じでしょうか。
どの話も数ページのうちに終わる短い話ばかりなので、とても読みやすかったです。
光原さんの「銀の犬」がとてもよかったので、表紙の雰囲気が似ていたこの本も期待して手に取ったのですが、これがすごくよかったです!
32編の短編たちは、現代ものだったり、時代物だったり、ギリシャ神話の世界だったり、どことはわからない世界で語られる物語だったり……。
しかし場所や時代を超えて、どの話もちょっと不思議でちょっと切なく、でも不思議とふわりとしたあたたかい気持ちになれるお話です。ほんの数枚の物語の中に、光原さんのエッセンスのようなものが存分に詰まっている、素敵な短編集です。
絵も素敵。この色彩に満ちたあたたかい挿絵たちが、この物語たちをいっそう素敵にしていると思います。
私は、光原さんの書いた恋物語に弱いのだなあと、実感してしまいました。もう、ちょっと切ない恋物語を書かせたら、舞台は東西問わず、本当に素敵な物語を描く作家さんです。
他の作品も読んでみたくなりました。
私が読んでるのは単行本だけど、光原さんの作品は文庫でそろえて、本棚に入れておきたくなるような、そんな素敵な作品たちです。
とっても素敵なお話ばかりなのですが、お話が一つ一つとても短いので、オリジナリティを感じるのに時間がかかってしまいました。スルメ本のような気がする。
それでも、お勧めの一冊です。
とにかくきれいです。
にほんブログ村[0回]
PR