- 和菓子のアン
- 発売元: 光文社
- 価格: ¥ 1,890
- 発売日: 2010/04/20
坂木司 著
お勧め度★★★★★(面白い! 読みやすい! お気に入りの1冊)
ずっとずっと昔から、時間は途切れなく続いている。その時間の別名を、歴史という。だとすると、いつか私だって自動的に歴史の一部となる。本には残らない名もなき人生だと思うけど、食べることでお菓子を次の世代へ残していけたらいい。
名もなきおはぎはきっと、私のような人に支えられて歴史の波を越えてきたのだから。(p187)
私が登録している読書記録サイト、「読書メーター」で評判が良くて、気になっていた作品。それなりに昔の作品なので、図書館で予約して読むことに。意外とすぐに来ました。
分類的にはミステリになるんでしょうか。作者様はミステリ作家としてデビューされましたしね。さらに細かい分類で行くと、日常の謎系の連作中編ミステリです。
高校を卒業した後、進路が決まっていない女の子、梅本杏子は、食べることが大好きなちょっとぽっちゃりした女の子。そんな時に、デパートの地下にある和菓子屋さんのアルバイト募集の広告を見つけ……。
和菓子の知識はないけれど、一癖も二癖もある個性豊かな店員たちと一緒に和菓子を売り始めた杏子。
たまに、ちょっと事情のありそうなお客さんもやってきて……??
というようなお話です。
作者様もあとがきでおっしゃっていましたが、和菓子の世界そのものが、まさしく一つのミステリー! 奥が深いことったらないです。今まで和菓子が地味だなあと思っていた人がいたら、その認識が覆ること間違いなし! の1冊です。
そうしてさらに間違いなしなのは、きっと読み終わった後に、和菓子を買いにデパ地下に行きたくなること間違いなし! な一冊でもあるということです。かく言う私も、読んだ後に割とすぐ感想を書いてますが、うずうずしています。
でも、本当に面白くて、素敵な小説です。
まず、舞台がデパ地下の和菓子屋さんというのが、それなりに身近な題材で、その裏側を覗いているような気持ちになります。デパ地下って、あの雰囲気大好きです。
そこで働いている店員さんも、本当に個性的。最初はちょっと剣悪な雰囲気というか、怖い人ばかりなのかな、とか思っていたら、なかなかどうして素敵な人たちばかりです。こんな職場で働きたい。とくに立花さんが面白い。アンちゃんと今後何かあったりするんだろうか。
主役のアンちゃんも、(少なくとも私は)不思議と共感のできるような、そんな女の子で親しみが持てます。というか、アンちゃんの語りでつづられる文章が楽しい。思わず笑ってしまうことも多々ありました。
続編とか、映像化とか、あっても良いなあと思った作品です。
それだけ、誰が読んでも楽しい作品だと思うので、少しでも興味のある方は、是非読んでみて下さいね。
あ、本当に、続編でないかなあ。お気に入りです。
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