紅玉いづき 著 磯野宏夫 表紙絵
お勧め度★★★☆☆(悪くないと思うけど個人的には微妙だった。前作のほうが好きかな)
「どうぞ、呪ってごらんなさい。あなたがどれほど強い呪いの姫君でも」
のぞむところ、と、彼女は笑った。その顔は、笑んでいるのに、どこか壮絶だった。
「呪いさえも力に変えるわ。わたくし達の国と王子は、そうして生きてきたのよ」(p89)
紅玉いづきさんのデビュー作、「ミミズクと夜の王」の続編。
前作の舞台となった王国レッドアークと同盟を結んでいる、占の国ヴィオンが物語の舞台です。
王族として生まれながらも、占いによって生まれてすぐに捨てられ、下町で下賤の子として育った少女、エルザ。彼女は生きる為に、毒を含んだ言葉を吐きます。
そんな彼女が、レッドアークの王子クローディアスに嫁ぐことになって……、というお話。
うーん、以下ちょっと辛評です。
正直、前作のほうが好きだったかなあ。今回の話は、あまり印象に残るようなお話ではなかったように思います。
エルザが毒吐姫だって言うから、何か不思議な力でも持っているのかと思ったら、ただたんに(個人的には)バラエティーに乏しい下品な罵りしかできないように見えたのもちょっと残念だし。
クローディアスが精神的に成長しすぎてて、個人的に本当に理想の王子様になっているのも残念だったし。
ミミズクが出てくるタイミングがあまりにも唐突というかご都合主義というか、それでいてみんなミミズク大好きで、真昼姫なんていうよくわからない愛称でよばれてるのも、えっ? って感じだったし。
この話は女性賛美というかミミズク賛美なのかと思った瞬間にいろいろ興ざめしてしまいました。いや、女性賛美が悪いというわけでは全然ないのですが。
それに、本当にご都合主義的すぎるのもなあ。前作でも感じたけれど、エルザもじょじょに本当に普通の女の子になっていく様子が、個人的には残念でした。
唯一アンディとオリエッタとジョセフに癒されてました。うん、脇役は好きなんですよね……。
まあ、おとぎばなしみたいなお話を期待されてるんだろうし、そういうお話が好きなのでしょうけど、なんだか「本当にこんなおとぎ話でいいと思っているのか!?」って感じでしたし。
まあ、私にはいまいちでしたけれど、悪い話ではないと思いますし、お好きな人はお好きだと思います。
興味のある方は読んでみるのもいいのではないかと思います。
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