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紅茶好きの管理人が読んだ読書の記録のためのブログ。ネタバレありですのでご注意ください。
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光をはこぶ娘
光をはこぶ娘
  • 発売元: 講談社
  • 発売日: 2002/12/16

原題 The Light-Bearer's Daughter
O.R.メリング 著 井辻朱美 訳 こみねゆら 表紙絵
お勧め度★★★★☆(メリングの新境地といえる1冊)

「お返しって、どんな?」
オナーはあたりをすばやく見まわし、肩をすくめ、くすりと笑った。
「あなたの心の奥底の願い。それをかなえてあげる」

メリングのケルト・ファンタジー5冊目。妖精王の月、夏の王の続編にあたります。
主人公の少女はカナダ人の父を持つアイルランド育ちの11歳の少女ダーナ。母親はダーナが本当に小さい時にどこかにいなくなってしまいました。
ダーナの父、ゲイブリエルはダーナの成長につれる変化に対して戸惑いを覚え、よい仕事口が見つかったのを契機に自身の故郷のカナダに居を移そうかと考えています。
しかし、ダーナはそのことに反発し……。近所の森の中で美しい妖精たちと出会ったことをきっかけに、この事態の解決の糸口を探そうと、旅に出ます。ダーナは、上王のことづてをルーフ王に届けてくれるように、頼まれたのです。

というようなお話。

この話の第一印象は、メリングの新境地!? って感じでした。
主人公のダーナの年齢はぐっとさがって11歳だし、父が今気にかけている女の人はインド人だし……。今までケルトの妖精一色だったメリングからインドという土地の発想が出たことが驚きでした。まあ、メリングからすればケルトの妖精も、インドの神々や天女といった存在も、あまり変わらないのかもしれないなあとは感じますけれど。

今回は主人公の少女の恋物語は珍しく影をひそめています。その代わり見どころはお父さんとお母さんの恋物語かな。
今までの話と違って、環境保護とか、そういう社会的な問題をわりと大きく取り上げているのもびっくりでした。

でも、メリングの書く物語にはやっぱり、らしさがあります。今回は、狼と一緒に走るシーンが、なんともファンタジックでお気に入りです。

ダーナの冒険の手助けをしてくれるのは前作夏の王にも登場した少女オナー。なかなか元気そうで、顔出しが嬉しかったですね。
なにより、この本に出てくる妖精たちは本当に妖精らしいので、お気に入りです。

今までの本よりもちょっと薄いんだけど、いままでとは違う深みを感じる1冊になっています。
次の作品、夢の書でこの一連のシリーズも終わりますが、今度の舞台はいよいよカナダになるようです。どのような物語が繰り広げられるのか、非常に楽しみです。

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